失業保険(失業給付金)にも「障害者枠」があるの?~いつから?、いくら?、障害者枠での注意点まで紹介します!~

家計・ライフプラン
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こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。

仕事をしている以上、いつか訪れるのが、「退職」という道ですよね。

定年まで勤め上げることもあれば、色々な理由により「退職」という道を選択することもあります。

どのような理由であれ、退職した以上、お給料がなくなります。

その時に頼りになるのが「失業保険」と言われているものですね。

この失業保険を受給するにあたっては、障害者を持っている方に対して、一定の措置があります。

失業保険の基本の仕組みから、受給するときに注意点まで紹介しますね。

失業保険とは?

そもそも「失業保険」と言葉は聞いたことあるけど・・・という方も多いのでは?

実際に会社に就職して、退職するところまで経験しないと、よくわからない、というのが正直なところですよね。(まさに私も経験するまでは、言葉は知ってる、程度でした笑)

まずは、基本から紹介しますね。

「退職」からの「失業保険」まで、経験あるよ~って方は、次の項目からでもOKですよ!

失業保険=雇用保険

「失業保険」とは、『保険』という言葉が気になりますよね。

保険なんて入ってないのに、大丈夫だろうか?と不安にもなります。

失業保険とは、雇用保険制度に基づいて支給される手当で、会社を退職し、転職活動を行うときに受給できるもの。

簡単に言えば、生活の心配をしないで、安心して仕事を探してくださいね、というもの。

よって失業保険とは、雇用保険に入っていることで貰えるお金!(厳密に言うと違いますが笑)

では、雇用保険とは、何でしょうか?

会社に勤めている、アルバイトをしているといって、”必ず入っている”わけではないため、時短などで働いている方は要注意!!

雇用保険には、加入するための条件があります。

雇用保険への加入条件(全て満たす必要あり)
  • 雇用保険の適用事業所であること
  • 31日以上、雇用される見込みがあること
  • 週20時間以上の勤務

これらを満たしているとき、会社は雇用保険に入る義務があります。

そうはいっても、これらは会社側が意識している条件。

今、自分がどうなのか、知りたいですよね。

その時は、お給料明細を見てみましょう!

お給料明細で雇用保険が差し引かれていた場合は、雇用保険に加入している=失業保険が貰える可能性がありますよ!

受給するための条件は?

雇用保険に加入している=失業保険が貰える”可能性”がある。

失業保険を貰うためには、さらに色々な条件があります。

雇用保険を払っていたから、退職後に絶対に貰える、というわけではありません。

失業保険を貰う条件(基本)
  • 雇用保険に加入していること
  • 雇用保険の加入期間が、退職前の2年間で12ヶ月以上あること(1ヶ月=11日以上働いている)
  • 失業の状態であること

また、大前提として、「働く意思があること」が条件となります。

そのため退職した理由として、しばらく病気治療に専念するため等の場合は、貰えない可能性があるということですね。

失業保険が貰えない可能性有り
  • 病気やケガで、すぐに就職することが難しい場合
  • 妊娠・出産・育児ですぐには就職できない場合
  • 退職して、しばらく休養する場合
  • 結婚して、しばらく家事に専念する場合

なお、雇用保険の加入期間については、条件が変わる場合もあります。

特に、自己都合によって退職した場合は、要注意ですね!

失業保険を貰う条件(例外)
  • 退職事由が「会社都合」の場合
    • 雇用保険の加入期間が、退職前の1年間に6ヶ月以上あること
  • 退職事由が「自己都合」の場合
    • 雇用保険の加入期間が、1つの会社に限らず、辞めた日の翌日から遡って、期間を通算することが可能

特定理由離職者って?

さらに!!

障害を持っている方で該当することが多いのが、自己都合の中でも「特定理由離職者」として認められる場合です。

これは障害者手帳の有無に関係なく、理由次第で認められるものです。

例えば・・・

  • 会社で転勤を命じられたけど、通勤時間が長くなって、通うのが難しい。
  • 病気が悪化して、同じ仕事を続けることが出来ない。

その場合は、自己都合退職が「正当な理由である」と認められ、退職前の1年間に6ヶ月以上あれば、受給できますよ。

ただし認められるかは、ハローワーク次第、となります。

言い換えれば、ハローワーク次第とは、相談は自由!

ハローワークの職員の方に辞めた理由などを話して、相談してみるのも1つの方法ですよ。

失業保険の受給までの流れ

失業保険の受給条件に該当する、という方。

早速、準備を始めましょう。

流れとしては、簡単に6つのステップがあります。

受給までの流れ
  1. 書類の準備
  2. ハローワークへ行く
  3. 受給資格の決定
  4. 説明会への参加
  5. 「失業認定日」にハローワークで手続き
  6. 受給

では、少しだけ詳しく紹介しますね。

①書類の準備

手続きに必要な書類を準備しましょう。

必要な書類
  • 雇用保険被保険者証・雇用保険被保険者離職票(離職票1、離職票2)
  • 個人番号(マイナンバー)の記載が確認できる書類
  • 身元確認のできる運転免許証、パスポートなどの証明証・証明写真 2枚
  • 印鑑・本人名義の預金通帳、あるいはキャッシュカード
  • 障害者手帳

1つ目は会社から貰う物です。

もし退職してから、なかなか届かない場合は、会社に問い合わせてみましょう。

また会社に言ってもなかなか書類が届かないときは、1度、ハローワークに相談してみましょう。

なお最後の障害者手帳は、必須ではありません。

ただしこの後紹介する、メリットを受けるためには必要な持ち物ですので、注意してくださいね。

②ハローワークへ行く

書類が準備できたら、早めにハローワークへ行きましょう。

なぜなら失業保険が貰えるのは、退職日から1年間と決められているため。

それに手続きしないことには、いつまでたってもお金が貰えませんからね。

ハローワークでは、書類に不備がないか、確認した上で、手続きを行います。

この手続きとは、「失業した」ことを申告し、「休職の申し込み」をすることとなりますよ。

もし自己都合退職だけど、理由がある!=「特定理由離職者」に該当するかも、という方は、このときに相談してみましょう。

障害者手帳を持っている場合!

もし障害者手帳を持っている場合は、最初にハローワークで手続きをするときに、ぜひ申し出てくださいね!

なぜなら、メリットが多くあるから!(詳しくは後ほど)

もちろんここで提示したからといって、障害者雇用枠で入社すること、なんて条件はありません。

後ほど詳しく条件等は解説しますが、最初に提示しなければ、と覚えておいてくださいね。

③受給資格の決定

受給資格をハローワーク側で精査し、資格が決定します。

このときに失業保険が何日貰えるのか、いつからなのか、が決まりますよ。

ただし必ず、「待機期間」といい、受給資格の決定日より7日間は失業保険が受けられない日にちがあります。

この間に、再就職が決まると失業保険が受けられません。

ゆっくり休養する時間、と思ってくださいね。

④説明会への参加

待機期間ののち、ハローワークに指定された説明会へ参加します。

ここでは、失業保険を受給するときの注意点など、説明を受けますのでしっかり聞いておきましょう。

また説明会が終了したら、「失業認定申告書」と「雇用保険受給者資格証」を貰います。

⑤「失業認定日」にハローワークで手続き

説明会のとき、または参加後に第1回目の「失業認定日」が決まります。

この「失業認定日」にハローワークで手続きすることで、失業保険を貰うことが出来ますよ。

⑥受給

失業認定日より、5日ほどで失業保険が振り込まれます。

ただし受給まで、「給付制限期間」がある場合は、すぐには振り込まれません。

この「給付制限期間」は3ヶ月となりますので、注意してくださいね。

失業保険で金額はいくら貰えるの?

失業保険の受給条件よりも、気になるのは、「いくら貰えるのか」ですよね。

概ね、会社で働いていたときに貰っていた給料の50%~80%となります。

では、詳しい計算方法です。

賃金日額 退職前6ヶ月の給与総額 ÷ 180日

賃金日額とは、1日あたりの平均賃金ということですね。

なお給与総額とは、残業手当などの色々な手当も含まれますが、ボーナスは含まれませんよ。

この計算式で算出された賃金日額に、50%~80%をかけて「基本手当日額」が算出されます。

「基本手当日額」という金額が、失業日数に応じて貰えるようになる、ということですね。

なお基本手当日額には上限もありますので、すごーく高いお給料を貰っていた、という人は注意ですよ。

失業保険の受給期間は?

受給できる期間は、働いていた期間や年齢、退職理由などによって変わります。

資格次第で、90日~240日となっています。

ただし、障害者手帳を持っている場合、この受給期間も変わりますよ。

次の項目で詳しく解説しますね!

もし基本を知りたい、という方は以下のリンク先を参考にしてくださいね。

参考

ハローワークインターネットサービス「よくある質問(雇用保険について)」

失業保険の「障害者枠」?

障害を持っている方は、失業保険の「障害者枠」とも言うべき、「就職困難者」に該当する場合があります。

特に気になる「障害者枠」を、しっかり解説しましょう!

受給の条件が少し緩い

まず、受給条件の緩和がされています。

この緩和の対象は、雇用保険の加入期間と待機期間のことです。

【就職困難者の場合】

雇用保険の加入期間が、退職前の1年間で6ヶ月以上あること

自己都合退職であっても、3ヶ月の給付待機期間がない

失業認定日まで、就職の活動実績回数が緩和

【通常】

雇用保険の加入期間が、退職前の2年間で12ヶ月以上あること

自己都合退職の場合、3ヶ月の給付待機期間がある。

失業認定日まで、就職の活動実績回数が基本は3回以上必要

受給期間が長い

2つ目は、受給できる期間が長くなる、ということです。

基本は、働いていた期間や年齢、退職事由で受給できる期間が変わる、と紹介しました。

就職困難者の場合は、加入期間と年齢のみで区分けされています。

基本は、最短で90日、最高でも240日であるため、期間が長くなっているのがわかりますね。

「障害者枠」(就職困難者)の条件は?

では、この緩和条件に該当するための条件は何でしょうか?

基本的には、障害者手帳を持っている人、となります。

そのため身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳ということですね。

ただし例外もあります。

例えば、てんかんや総合失調症などの場合、医師の診断書があれば該当する、という場合も

この考え方はハローワーク次第となりますので、相談してみてくださいね。

【ココに注意!】失業保険を「障害者枠」でもらうときのポイント

失業保険を受給する際に、注意しなければならないポイントがあります。

このポイントを押さえておかないと、失業保険が貰えない!ということにもなりかねません。

また失業保険を貰うときに気になるポイントも、あわせて紹介しますね。

離職理由に注意

1つ目は、離職理由に注意することです。

会社を辞める理由は、いろいろありますよね。

私のように通勤が難しくなった、ということもありますし、病気の治療に時間をかける必要が出た、など。

この理由をハローワークに申告するときには、少し注意が必要です。

例えば、通勤が難しい、とは、距離の問題?通勤方法の問題?

これくらいの理由であっても、仮にハローワーク側が、「働くことが一切出来ない」と判断した場合は、失業保険が貰えなくなる可能性があります。

失業保険の受給条件には、「働く意思があること」が必要です。

今すぐに働く場所が見つかった場合に、すぐに働ける状態であるかどうか、が見られます。

そのため退職の理由次第で、「働けない」とならないように注意が必要ですね。

また、お医者さんの診断書にも注意が必要です。

診断内容の書き方次第では、「医者が働くことを進めていない」=「働けない」となりかねませんよ。

転職?自営業?はたまた起業!?

今は、色々な場所・方法で仕事が出来る時代です。

例えば、普通に会社で事務職してたけど、YouTuberになろう!と思って、仕事を辞めました、なんてことも。

もちろん、その意気込みは良いと思いますが、失業保険を貰うときにはNGとなります。

さらに会社を辞めた理由が、「家の自営業を手伝うため」などの場合は、失業保険が貰えません。

失業保険は、「働きたいけど、働く場所が見つからない」という方に支給されます。

自営業の場合は、そもそも働く場所は見つかっていますよね!

これは「会社を辞めて、起業する」場合にも該当しますよ。

そのため最初の例のような、「YouTuberになる!」という場合は、フリーランスであり、個人事業主となります。

特に、起業するための準備期間も失業保険の受給はなしになりますので、注意してくださいね。

傷病手当金を受給しているときは?

会社を辞めた理由に、「病気療養のため」というのもありますよね。

その場合、会社の健康保険により「傷病手当金」を受給している、という方は注意です。

残念ながら、傷病手当金と失業保険の併用はできません

傷病手当金は、「働くことが出来ない」ために支給される手当ですよね。

失業保険は、「働きたいけど、働く場所が見つからない」と、働くことが前提です。

そのため傷病手当金を貰っているときは、働ける状態ではないと判断される、ということですね。

ここでオススメしたいのが、失業保険の受給期間の延長申請です。

失業保険の受給期間は、退職の翌日から1年間となっており、せっかく長く貰える条件に該当しても、日数が短くなってしまいます。

そのため、この1年間の期間を延長して、病気の療養に努めましょう。

延長しておけば、働ける状態になったときに、改めて失業保険を貰いながら仕事を探すことが出来ますよ。

障害年金を受給しているけど・・・

障害者の方の中には、障害年金を貰いながら働いている、という方もいらっしゃいますよね。

では、失業保険と障害年金の併用が出来るのか、気になるポイントです。

結論は、失業保険は障害年金を貰っていても、受給できます!

どちらかが減らされたり、止められたり、ということはありませんよ!

安心して、失業保険の手続きしてくださいね。

失業保険の「障害者枠」を賢く利用して、ゆっくり働く準備を!

会社を退職することは、1つのステップアップでもあります

理由が何であれ、ライフプランの中では重要な分岐点ですよね。

ただその分岐点を、ステップアップにするか、悪い方向へ行ってしまうかは、人それぞれ。

ぜひ、良い道を選べるように、落ち着いて考えたいですよね。

失業保険を貰って、ゆっくり焦らずに、良い道かどうか見極めながら、働く準備をしてくださいね

1つだけ、謝罪を。

説明のとき、言葉が曖昧で申し訳ございません。

私が「就職困難者」という表現が好きではなく、ここでは敢えてあまり使用していません。

「障害者=就職困難者」とは、理解は出来ますが、障害者である私としては、個人的に真っ向から反論したい気分です。

そのため「障害者枠」などという、言葉で表現しています。

ハローワークでは、実際にはこのような言葉は使っていません。

ご理解いただければ幸いです。

参考

ハローワークインターネットサービス「雇用保険手続きのご案内」

ファイナンシャルプランナー 山口 真未

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