※2022年6月25日に更新しました!
障害をお持ちの方であれば、1度は聞いたことがあるのが「障害年金」です。
ただ若い方は特に、「年金の受給」と聞くと、その言葉だけで尻込みしがちですよね。
また働いている方は、年金を受給するとなると、会社を辞めなくてはならないかも、と心配にもなります。
ここでは、障害年金制度の内容から、年金受給のポイントなどを紹介します!
障害年金とは

まずは、「障害年金とは」です。
病気やケガが原因で障害者となった場合に、一定の条件をクリアした場合に受給できるもの
この定義でわかるとおり、生まれつきの障害でも、事故など後発的な障害でも20歳以上であれば受給することができます。
ただし気になるのは、「一定の条件をクリアした場合」ということですよね。
残念ながら、障害を持っている誰もが障害年金を受給できる、とは限りません。
では私は貰えるだろうか??と、条件が気になりますよね!
まずは、障害年金の種類から紹介します。
障害年金と、一口に言いますが、実は2種類あります。
ではこの2種類について、詳しく解説します。
障害基礎年金
まずは、障害基礎年金とは、をざっくりと紹介します。
障害や病気について、初めて医師に診察を受けた日(初診日)に国民年金に加入していた人
または以下の場合も対象となる
- 初診日が20歳未満の人(=国民年金の加入前 例:先天性の障害)
- 60~65歳未満で日本に住んでいる人(=年金制度に加入していない期間中)
ポイントは国民年金の加入期間である、または国民年金の加入前(20歳前)の障害であるということですね。
障害の程度に応じて、1級か2級かに分かれます。
障害厚生年金
では、障害厚生年金についてです。
障害や病気について、初めて医師に診察を受けた日(初診日)に厚生年金に加入していた人
障害厚生年金は、障害基礎年金に上乗せされて支給される年金です。
例えば、会社に勤めている期間中に、事故で障害を持つことになった、という場合ですね。
障害厚生年金は、1級・2級・3級となります。
また障害厚生年金には該当しなかった、軽い程度の場合、”一時金”である障害手当金が支払われます。
対象になるのは?

「障害」と言っても、障害の程度や内容は様々ですよね。
年金の受給にあたっては、病名は関係ありません。
重要視されるのは、日常生活に支障があるか、で判断されます。
そのため身体障害だけでなく、精神障害等も対象となるということですね。
簡単にですが、障害の一例を紹介します。
ここで紹介したものは、あくまで一例です。
さらにポイントとして、現在も障害を持っており日常生活に支障があることも重要です。
どんなに大病であったとしても、完治している障害は対象ではありませんので注意してくださいね。
受給する条件

障害年金で一番気になるのが、受給条件ですよね。
では、受給するための条件を見ていきましょう。
条件は大きく4つです。
初診日がわかること
障害の原因となった病気やケガについて、初めて診察を受けた日のこと
この初診日を特定できることが、とても重要です。
もしこの初診日が不明、という場合には申請が難しくなります。
これには、きちんとした理由があります。
初診日によって、障害基礎年金なのか、障害厚生年金なるのかが変わります。
特定が面倒、とも思われますが、理由が分かれば納得ですね。
なお知的障害の場合は、基本的に出生日=初診日となります。
ただし子供のころから症状がありながらも、病院を受診していない場合。
20歳を超えてから受診した人は、その最初の受診日=初診日となるので注意してくださいね。
一定の障害の状態であること
初診日が判明している場合、次に重要になるのが「障害認定日」です。
この障害認定日の状態が、障害年金の認定を行う基準となります。
これには3つのパターンがあります。
さて、ここでの疑問は、2つ目の「症状が固定化した日」という表現ですね。
例えば手術などにより障害を持った場合、今後これ以上回復が見られない、と判断された日等を指します。
詳しい日にちが知りたい方は、主治医の先生に聞いてみてくださいね。
障害等級に該当すること
等級とは
障害年金を受給する際に、判定される障害の程度を表すもの
障害基礎年金では1級と2級が、障害厚生年金では1~3級まであります。
この等級によって、障害年金の受給額が変わりますし、該当しない場合は支給されない、ということですね。
細かい基準等は、厚生労働省がオープンにしているので、気になる方は見てみてください。
参考文献
日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
障害者手帳の等級との違い
この1級や2級と聞くと少し混乱する点が、障害者手帳の等級との関係ですよね。
同じ言葉ですが、障害者手帳の級と障害年金の等級は違います。
そのため障害者手帳で1級だからといって、必ずしも障害年金で同じ1級になるわけではありません。
あくまで現在の日常生活への影響度によって、申請された書類によって判断されますので注意してくださいね。
年金の加入状況
障害年金を受給するためには、以下の2つのうち、どちらかの条件を満たすことが必要となります。


なおいずれの条件も、初診日が基準となります。
そのため20歳より前に初診日がある場合は、条件に該当しません。
免除期間等があり、年金の加入月数が達しているか不安の方は、以下の方法で調べることができますよ。
参考リンク
日本年金機構「ねんきんネット」
所得制限

今は色々なツールを使って、働くことができる時代ですよね。
例えば、完全介護が必要な方でも、働いて収入を得ることができます。
その時に不安になるのが、「収入があっても、障害年金を受給できるのか」、ということですよね。
結論は、収入の金額次第で受給することができます。
障害基礎年金には所得制限があるため、一定の収入がある場合は審査に通らない、または支給が停止されます。
なお、これは初診日が、20歳前にある人のみが対象となります。
参考までに1人世帯の場合の金額を記載しますね。
所得制限内容 | 所得金額(1人世帯の場合) |
---|---|
全額停止 | 4,721,000円を超える場合 |
半額支給 | 3,704,000円を超える場合 |
制限なし | 3,704,000円以下 |
※扶養親族1人につき、所得金額に38万円が加算されます。
※なお、対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円加算されます。特定扶養親族等であるときは1人につき63万円加算となります。
参考文献
受給する金額

障害年金の受給条件をクリアした場合、気になるのが受給できる金額ですよね。
これは生活設計を考える上でも、ライフプランを作成する上でも重要です。
では、詳しく解説していきますね。
障害基礎年金
障害基礎年金は、年度によって変動がありますが、概ね一律の金額が支給されます。
参考までに、令和3年度の障害基礎年金の金額を記載しますね。
※1級の年金額は、2級の1.25倍となっています。
子の加算は、第1子と第2子は1人につき、223,800円の加算、第3子以降は74,600円の加算となります。
なお「子の加算」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、もしくは20歳未満で障害等級1級または2級の障害者に限りますので、注意してくださいね。
障害厚生年金
一方、障害厚生年金は厚生年金の加入月数等により金額が変わります。
「報酬比例」という聞きなれない言葉が出てきていますよね。
これは厚生年金の計算の元となる額になる”平均標準報酬額”や厚生年金に加入していた期間により計算されます。
簡単に言えば、給与が高い人や厚生年金を納めていた期間が長い人ほど高くなる、ということですね。
なお配偶者の方がいる場合は、配偶者の加算額として224,700円がプラスされて支給されますよ。
また障害厚生年金は1~3級に該当しない場合、「障害手当金」という一時金が支払われます。
障害手当金:報酬比例の年金の2年分(最低保証1,171,400円)
障害基礎年金を受給している方で、一定の条件を満たす場合、年金にプラスで支援金の給付を受けることができます。
これは障害厚生年金を受給している方も、条件を満たせば受給できますよ。
ただし!年金の受給手続きとは別に、 「障害年金生活者支援給付金」 の請求が必要です。
請求は忘れずに行ってくださいね。
【支給要件】
申請方法

条件を見て、受給できそうだな、と思ったら、いよいよ申請ですよね。
障害年金を申請する流れは簡単ですが、用意するべき書類が多い上に気を付けるべきポイントも多くあります。
まずは、申請先に相談することをおススメします。
または、障害年金の申請を代行してくれる社会保険労務士(社労士)を頼ることも、1つの方法ですね。
多くは初回の相談が無料であったり、定期的に無料相談会等を開催しています。
「餅は餅屋」ということわざがある通り、迷ったらプロに聞いてみるのも1つの方法ですよ。
なお申請後は、日本年金機構が書類を見て審査をし、支給や等級を決定します。
支給決定までは、約3カ月程度かかると言われています。
詳しい申請書類を確認したい方は、日本年金機構のHPに記載されていますので、見てみてくださいね。
障害年金のまとめ

障害年金は、老後にもらう年金とは異なり、自分から申請しなければ受給することはできません。
しかし制度が難しかったり、不安要素も多いため申請を諦めてしまう、という人も多いと聞きます。
ここで紹介した通り、働きながらでも受給できる場合もあるので、生活費の助けになることは間違いありません。
将来を見据える上でも収入は、大切です。
ぜひ条件に当てはまる方は、申請を検討してくださいね。
私自身も、障害年金の受給申請の経験があります。
私の場合は、診断書がとてもややこしい上に、初診日が幼少期だったため病院のカルテもない状態でした。
普通の申請でも面倒な上に、さらにややこしいとは、少し特殊なケースだったかもしれませんね。
そんな体験談でも聞きたい、という方はお問い合わせより、ご相談くださいね。
(※ココには書けないような裏話があるかも??笑)
ファイナンシャルプランナー 山口 真未
コメント