こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。
年末調整で障害者の方で気になるのが、「障害者控除」という欄ですよね。

私も毎年、書いていますが…最初はナニコレって思ってました(笑)
今回は、「障害者控除」について解説します!
年末調整の時期になると気になる、税金のこと。
会社員の方だと、書類を書いて、証明書類を持って行って・・・と大変なことも多いですよね。
ただ年末調整は今年分の税金にも、来年の税金にも関わる大切なこと!
その中でも障害者手帳を持っている方は、障害者控除を受けることができます。
この障害者控除には、気を付けたいポイントもありますので紹介します。
障害者控除とは
そもそも障害者控除とは、所得税法上の障害者に当てはまる際に、一定の控除を受けられる制度で「所得控除」の1つです。
では「所得控除」とは、年末調整や確定申告で申告することで、税金をさまざまな事情を考慮して税の負担を抑えるもの。
簡単に言うと、人によって異なる事情があるから、その事情に合わせて税金を安くしようというものですね。
所得控除には他にも、「扶養控除」や「医療費控除」、「生命保険料控除」などがあります。
イメージの計算式を下に記載しますね。
①収入-必要経費(給与所得控除等)= 所得金額
②所得金額-所得控除(障害者控除、扶養控除等)= 課税所得
③課税所得×所得税率= 所得税の納税額
※細かい税額控除等の説明は省略しています。
イメージの計算式のとおり、所得金額から控除額が引かれることで、税金が少し安くなることがわかりますよね。
そのため、所得控除がある場合は、しっかりと申告することが、とても大切になります。
障害者控除の対象って?

本人や家族に障害者がいると、障害者控除の対象となります。
まずは「障害者控除」を受けることができる、対象者を紹介しますね。
基本的には、障害者手帳を持っている人か、その他の理由で認められている人、となります。
ただし障害者本人の申告なのか、家族が障害者控除を受けるのかによって条件がかわります。
詳しい条件を参考までに、記載しますね。
障害者本人が申告をする場合
障害者本人が申告する場合は、上記の対象者であること、ですよね。
そのため残念ながら、障害者手帳を持っていない、という方。
対象者要件の中で、その他の理由に該当しない限り、控除の申告ができない点に注意です。
また要介護認定を受けている、という場合でも、障害者手帳がない限り(または市町村長等から認定を受けるなど)難しいのが現状。
要介護認定を受けたから、イコール申告できる、とはならないので注意ですね。
家族が障害者控除の申告をする場合
親族の場合は、特に障害者本人の収入状況が関わる、という点を注意したいですね。
また「生計を一にしている必要がある」とは、同居や別居など住まいに関わらず、生活費を共有しているか等が判断ポイント。
もし住んでいるところが別であっても、常に仕送りをしていて、その仕送りで生活しているという方は認められます。
よくある例としては、子供が大学進学で県外の学校へ通うために、1人暮らしをしている。
子供へは毎月、生活費の仕送りをしている、という場合ですね。
そのため生活の場(家)が異なっていても、配偶者や親族の方でも障害者控除ができることになりますよ。
※詳しい条件等は、下記の国税庁のHPを参考にしてくださいね。
参考
国税庁 「生計を一にする」
一般と特別って?
障害者控除と一口に言いますが、実は「一般」と「特別」の2種類に分かれます。
この2つの違いは、障害の程度によって分けられています。
簡単に言うと、障害が重い場合は「特別障害者」にあたりますね。
では、2つの違いは?というと、控除の金額が変わってきます。
控除の金額が変わることで、より税金で納める金額が変わる=手許に残る金額が変わるとなりますね。
では「特別障害者」にあたる要件を紹介しますね。
(※黄色のラインを引いているところが、主に一般との違いになります。)
主に障害者手帳の等級や程度の重さがより、明確に記載されていますよね。
※詳しい要件は、国税庁のホームページを参考にしてくださいね。
参考
国税庁 「障害者控除」
障害者控除の金額は?

2021年10月現在、所得税と住民税では、以下のような所得税控除の金額になっています。
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
障害者 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
同居特別障害者※ | 75万円 | 53万円 |
所得税と住民税のどちらでも、上記の金額をそれぞれ控除することができます。
税金の負担が少し、抑えられることに繋がりますので、しっかり申告したいですね!
税金はいくら安くなるの?
上記で示した金額は、あくまで「障害者控除の金額」であって、税金が安くなる金額ではありません。
ここに一例として、いくら安くなるのか、計算してみますね。
※ココでは、ざっくりとした計算をします。
【年収300万円の場合】(月割すると月収25万円)
①所得税率は? (※ここでは、所得税率のみを求めます)
年収300万円-給与所得控除額 108万円-基礎控除額 38万円=154万円(課税所得金額)
154万円の場合、所得税率は5%※1となります。
②障害者控除額の影響は?
「一般の障害者」の場合、27万円の控除額なので、
27万円×5%=1万3500円
住民税※2は一律10%なので、
26万円× 10%=2万6000円
よって、3万9500円も税金が減免される(節税できる)ことになります。
※1所得税率は課税所得の金額によって異なります。なお2021年10月現在の所得税率にて計算。
※2住民税は基本的には一律10%ですが、自治体によって異なる場合があります。
参考
国税庁 「所得税の税率」
障害者控除の手続きの仕方は?
税金の負担が軽くなるなら、ぜひやりたい!と思いますよね。
この障害者控除は、自ら申告しない限り受けることができません。
簡単に言えば、障害者手帳を持っているから自動で、とはならないので注意!!
ここからは、障害者控除の手続きの仕方を紹介します。
障害者控除ってどうやって申告するの?
申請の方法は、2種類あります。
会社員の場合
勤務先にて行う年末調整を行う時に、控除の申告をします。
具体的には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に、要件を記載することになりますよ。
このときに、障害者手帳の種類や番号、等級などを記入することになるため、障害者手帳等を忘れずに持っておきましょう。
特に会社員の年末調整の場合は、書く欄が見落とされがちですので注意です!
個人事業主の場合
確定申告にて、控除の申告します。
確定申告書に記載する対象者の控除額などを申告する欄にて、障害者控除の申告も行いますよ。
なお確定申告書でも、障害者手帳の種類や番号、等級などを記入しますので注意してくださいね。
忘れても大丈夫!
もし年末調整や確定申告書で、障害者控除の申告を忘れた!という人。
大丈夫です、過去5年間までは遡及報告といい、遡って還付の申告をすることができます。
なお年末調整の場合は「還付申告」といい、確定申告の場合は「更正の請求」と言葉が変わりますので注意ですね。
ただし過去5年間が過ぎると、時効扱いとなり申請できなくなりますので気づいたら早めに最寄りの税務署等へ問い合わせて手続きしましょう。
まとめ

年末調整にしろ確定申告にしろ、何となく苦手意識がある人も多いですよね。
ただ障害者控除は申告するだけで、税金が抑えられるためやるメリット大のもの。
少し面倒にも感じますが、自ら申告しない限り税金は安くなりません。
忘れずに、しっかりと控除を利用して、節税していきましょう!
ファイナンシャルプランナー 山口 真未
コメント