障害者手帳の存在は知っていても、申請しようか迷う、という方も多いのでは?
特に子供のうちに申請しない場合、ご自身で申請することになりますよね。
いざ申請するか考えたときに、申請する方法やメリット・デメリットが気になります。
ここでは障害者手帳の種類や手帳があることによるメリット等、幅広く紹介します。
既に障害者手帳を持っている、という方も、メリットの部分は参考になるため確認してみてくださいね。
障害者手帳とは

まずは、障害者手帳の基本について、簡単に紹介しますね。
障害者手帳とは
まず、一口に「障害者手帳」と言いますが、疾患の内容によって3種類に分かれています。
この3つの種類のうち、自分でコレがいい、と選ぶことはできません。
反面、ご自身の状態によっては、2種類の手帳を取得することも可能です。
どの手帳においても取得自体は任意で、ずっと手帳を取得しないこともOKです。
ただし手帳を基準として色々なサービスを利用できたり、生活の幅を広げることができることも事実ですよ。
では3つの手帳について、少し詳しく紹介しますね。
身体障害者手帳
「身体」に障害がある人に交付される手帳で、「身体障害者福祉法」という法律にもとづいています。
身体障害者手帳は、1級から7級までの等級があり、この等級で障害の程度の重さを表しています。
1級に近くなるほど、障害の程度が重くなりますよ。
なお7級の障害では、基本的には障害者手帳の交付は対象外です。
ただし、7級程度の障害が複数ある場合などは、手帳の交付対象となります。
対象者
身体障害者福祉法では、「身体上の障害がある18歳以上の者」を指します。
なお「身体上の障害」って、具体的には?となりますよね。
以下の内容がその項目となります。
ただしこれらは、いずれも一定以上で永続すること(障害が固定されている、または回復することが極めて低い状態)が必要となります。
「身体上の障害があるもの」に該当すれば、18歳未満でも手帳の交付は可能です。
その場合、15歳以上は本人による申請、15歳未満は保護者等による申請となります。
18歳未満による申請は、「身体障害者福祉法」だけでなく「児童福祉法」という別の法律も関連するため、注意してくださいね。
精神障害者保健福祉手帳
精神疾患のある人に交付される手帳で、「精神保健福祉法」という法律に基づいています。
精神障害者保険福祉手帳は、症状や障害の程度に応じて、1級から3級までの等級に区分されています。
1級に近くなるほど、障害の程度が重くなりますよ。
対象者
では具体的な病名等で、対象となる疾患を紹介していきますね。
代表的な病名等を記載しましたが、これらは一度診断を受けたからと言って、手帳の交付とはなりません。
あくまでこれらの障害が、長期にわたって症状があり、生活に制約が出ているときに対象となります。
長期とは、概ね初診日より6カ月以上、経過していることが必要となりますよ。
知的障害の場合、次に紹介する「療育手帳」と両方、取得できる可能性がありますよ。
療育手帳
知的障害のある人に交付される手帳で、”概ね幼少期に取得する場合が多い”という、特徴があります。
ただし幼少期のみ取得が可能、などという条件はありませんよ。
大人になってから取得も可能ですが、なぜ幼少期が多いのかにも理由があります。
知的障害の定義される項目の一つに、「18歳未満に生じる」とあるため。
そのため事故等により、知的障害と同様の症状が出たとしても、「知的障害」とは判断されないそうです。
知的障害と判断されない場合は、「療育手帳」の対象外となるため注意してくださいね。
また、療育手帳には制度を定めている法律がありません。
制度の内容は政府による通知により決められているため、全国一律の制度です。
全国一律の制度ですが、都道府県や市町村によって内容が決まるため、他の手帳のように決まった等級や名称もありません。
ここでは「療育手帳」と紹介していますが、都道府県や市町村によっては名前が異なる場合も。
「療育手帳」では聞き覚えがない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
対象者
残念ながら、「療育手帳」は他の手帳とは異なり、一定の障害の区分がありません。
上でも紹介した通り、各市町村によって取り扱いが異なるためです。
もしお子さんの手帳取得を検討されている、という方は、まず各市町村等へ相談してみてくださいね。
なお、軽度の知的障害でも、手帳の取得が可能になる場合があります。
判定は、18歳未満なら「児童相談所」、18歳以上なら「知的障害者更生相談所」が行いますよ。
障害者手帳の申請方法は?

では実際に、申請する方法を紹介しますね。
ただし市町村によって、細かい取り決めが異なります。
ここでは一例として紹介しますが、実際に申請する際は申請先に確認してくださいね。
身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳
大まかな申請の流れを紹介しますね。
① 市区町村の福祉関係窓口にて、説明を受けた上で申請用紙を受け取る。
② かかりつけの病院で、主治医に診断書を書いてもらう。
③ 診断書と顔写真など、必要な書類一式を、申請書をもらった市区町村の窓口に提出する。
これらの申請は、必ずしも本人でなくても大丈夫ですよ。
家族や代行を頼むこともできるため、ご自身の状態に合わせて申請の準備をしてくださいね。
また申請書は、市区町村によっては公式HPにてダウンロードできる場合もあります。
市区町村の窓口に行く前に、一度、HPを確認するのも1つですね。
申請したら、審査をされて手帳の交付にあたっての等級が決まります。
交付までは概ね1~2カ月程度、かかるそうですよ。
必要な時期が決まっている場合は、早めに申請しましょう。(例 就活に使いたい など)
療育手帳
療育手帳は市区町村ではなく、専門機関にて判定を受けます。
その専門機関に行くために、市区町村の福祉関係の窓口から連絡をしてもらい予約してもらいます。
なお市区町村によっては、自分でその専門機関に直接連絡してもOKな場合もあるそうです。
この取り扱いや流れは、市町村によって変わるため、まずは住んでいる地域の市区町村で相談してみてくださいね。
障害者手帳は、病名が決まっていなくても申請できます。
そのため病名がないと申請できない、難病申請による医療費助成制度とは異なります。
あくまで手帳の申請時の症状、障害の程度によるため、病名が決まっていない、という方も申請ができます。
お金が全てではありませんが、手帳を持つことで助けになることも事実ですよ。
障害者手帳を持つメリット

手帳を持とうかな、考えたときに気になるのが、その取得のメリットですよね。
申請には病院の診断書なども必要で、一定の費用がかかります。
その費用=お金をかけてまで、と思う気持ちも。
ここでは障害者手帳を持つことによって得られる、メリットを紹介します。
こちらに記載するメリットは、簡単な内容のみ記載します。
難しい内容も多いため、順次、別記事にて、細かく解説していきます予定でおります。
ご了承くださいませ。
障害者雇用枠で応募可能
まずは就職の際に、「障害者雇用枠」での応募が可能になります。
手帳を持っていない場合、どんなに重い障害であっても「障害者雇用枠」で採用試験を受けることはできません。
「障害者雇用枠」で働く場合は、最初から障害があることを会社が分かった上で、雇用される、ということですよね。
例えば、障害の内容に合わせて職場環境を整える必要がある、など考慮してもらえる場合もあります。
また働き方を柔軟に対応してもらえる場合がある、などメリットが多いことも。
私もOL時代の会社には、「障害者雇用枠」で入社しました。
働く場所だけでなく、設備も色々と整えてもらい、とても有難い思いもしました。(正直、あと何年かで壊すビルにスロープを増築してもらったのは、驚きました(笑))
経験談が聞きたい、という方は「お問い合わせ」より、ご質問くださいね。
各種 費用の助成や料金の割引
例えば、市町村によって内容は様々ですが、医療費の負担が軽減されます。
医療機関での自己負担が、通常の3割負担から1割負担に軽減されるなど。
この医療費の負担軽減に、まずは手帳の交付が必要になる、ということですね。
この助成内容は、市町村によるため確認してみてください。
税金の控除
各種税金についても、手帳があることで優遇される措置があります。
所得税や相続税・贈与税など、国税は全国一律で控除されます。
他にも地方税として、自動車税も優遇される措置がある場合がありますよ。
ただし地方税は各市町村で、内容を決めています。
詳しくは、お住まいの市町村に確認してみてくださいね。
各種福祉サービス
各市町村による福祉サービス以外にも、各施設にて、割引サービスがあることも。
色々な施設で割引にて、利用できることはメリットです。
日常で感じるメリットは、これが一番かもしれませんね。
割引サービスの中には、本人と付き添い1名まで割引になる、という場合もあります。
お金のメリットとしては、大きいですよね。
他にも公営住宅やUR賃貸住宅で、抽選制の場合に倍率が少し考慮されるなど、優先的に入居できる場合もありますよ。
身分証明書になる
障害者手帳は、写真も一緒に提示できる身分証明書にもなります。
健康保険証などは写真が一緒にないため、身分証明書としては不十分である場合もありますよね。
また運転免許証の取得が難しい人の場合、障害者手帳が身分証明書として使えるのはメリットです。
しかし、1つだけ注意点があります。
障害者手帳は障害の内容等により、取得してから更新が無い場合もありますよね。
子供の頃に取得した場合、写真も子供のまま。
子供の頃の写真を使って、30歳の大人の身分証明書になるか、と疑問になりますよね。(市町村に申告すれば、新しい写真で再発行できます。)
これは提示先にもよるため、絶対に身分証明書にならない、とは断言できません。
しかし効力が薄くなることも否めないため、メリットの1つ、と思ってくださいね。
障害者手帳を持つデメリット

基本的には、障害者手帳を持つことによってデメリットはありません。
障害者手帳は必ずしも、「提示しなければならない」という決まりがないためです。
取得するとき、周りからの偏見や視線が気になる、という考えもわかります。
その場合は、仕事先や周りの人にも、手帳を見せなければわかりません。
税金などを申請するときのみ使って、他は引き出しにしまっておく、としてもOKです。
就職する場合でも、「障害者雇用枠」ではない方法で入社したい、とするのは自由です。
ただメリットでも紹介したとおり、お金の面でメリットがあることも事実ですよ。
1つだけ補足します。(これは私個人の思いで、OL時代の経験を基に記載しています。また障害者手帳の有無にかかわらず、必要なことでもあります。)
会社に対して、障害を申告することは基本的には自由です。
ただし、その場合は会社や一緒に働く人に「気を付けてほしいこと」に「気付くことができない」ことでもあります。
例えば、一見ではわからない障害を足に持っていたとして。
大きな地震があったとき、高いビルから階段をずっと降りなければならないけど、それが難しい。
障害を言わないことは、不測の事態のときにも、手助けを得ることが難しくなる、ということでもありますよ。
普通に生活していれば、わからないような場合、あまり言いたくないという気持ちはわかります。(過去の私もそうでした。)
確かに、障害を持っていることを会社に申告することは自由。
ただ会社に申告しない場合は、地震のような「万が一」というときに、自分自身に危険がある可能性を、少し考えてみてくださいね。
※私は入社自体も障害者雇用でしたが、やはり危険回避という点でも大切だ、と感じました。
特に3.11の東日本大震災のときに配慮してもらったこと、その後の避難訓練では、私の為に高いビルから逃げる練習では、上司を含め皆で方法を考えてくれました。
毎日の仕事のことも大切ですが、万が一のときに手を貸してもらうことも大切だと痛感したため、補足として記載しました。
障害者手帳の種類等 まとめ

障害者手帳には3種類あり、それぞれ制度を定めている法律が異なります。
また基本は市町村によるサービスのため、住んでいる場所によって内容が異なりますよね。
障害者手帳の取得には、一定のお金がかかるだけではなく、病院や市町村との行き来など、手間もかかります。
しかし今は、福祉サービスのほとんどが障害者手帳を基準にして行われているため、せっかく受けられるメリットが受けられないことも。
特にお金の面では、大きな助けになることも事実ですよ。
障害者手帳を取得しよう、と決めた場合は、まず市町村の窓口に相談してみましょう。
私自身は、小学生の時に身体障害者手帳を取得しました。
色々な面で、障害者手帳によって助けてもらった事実もあれば、提示をするのが嫌だなって思うときもあります。
もしそんな裏話が聞きたい、という方は、お問い合わせにてご連絡くださいね。
ファイナンシャルプランナー 山口 真未
コメント