通勤や通学、旅行など、幅広い用途で使う交通手段の1つが電車ですよね。
その電車ですが、障害者割引の制度があることをご存知でしょうか?
もしかしたら、割引の制度自体は知っているけど、あまり使ったことがない、という方も多いのでは?
せっかく使えるものを、「知らない」というだけで、上手く使えていないのはちょっと勿体ない。
ここではJRの障害者割引制度について、内容や使い方等を紹介します。
割引の対象者は?

まずは割引の対象となるかどうか、ですよね。
残念ながら障害を持っているから、と全ての方が対象になるわけではありません。
各自治体の発行する障害者手帳を持っている人
前提として、「障害者手帳の所持」が必要となります。
さらに、手帳の中でも条件がありますので、注意してくださいね。
かつ
「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」に第1種又は第2種の記載
障害者手帳の中でも、精神障害者保健福祉手帳は対象外となっています。
さらに、身体障害者手帳や療育手帳を持っている、というだけでも割引制度は利用できません。
手帳の中を見ると、どこかに「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」という記載があるはずです。
そこに、「第1種」または「第2種」の記載が必要です。
これは障害者手帳の等級とは異なる項目となるので、混同しないように注意ですね。
障害者割引の対象となるキップは?

障害者手帳の記載を確認しましたか?
書いてある!と思った方、利用するには更に条件がありますよ。
障害者割引の人数
まず「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」に記載されている第1種や第2種によって、割引の人数が変わります。
第1種の方がより障害が重度になるため、割引の対象者が異なる、ということですね。
障害者割引の具体的な対象は?
ではどんなキップなら、割引の対象になるか、紹介しますね。

※障害者本人と介護者は、同じ種類のキップかつ同じ区間を同時に購入する必要があります。
※小児定期は割引の適用となりません。
少しややこしい言葉が多くなりましたので、1つずつ解説をしますね。
キップの種類
まずキップの種類ですが、正式名称で記載したため、あまり聞き慣れない言葉ばかりが並んでいますよね。
簡単に解説すると以下の通りです。
ここまで解説しておいて、という感じですが・・・
通勤や通学で使う、というとき=「定期乗車券」
定期を持っていない、定期の範囲外で電車に乗る、というとき=「普通乗車券」
と覚えておいていれば、間違いないです(笑)
なお、あくまで割引の対象となるキップは、乗車券のみです。
新幹線やグリーン車に乗るときには、乗車券とは別に「特急券」や「グリーン券」等、いわゆるお金上乗せのキップが必要になります。
これらのキップは割引の対象外となりますので、お金の計算をするときは注意ですね。
割引率
割引率は、一律で5割(半額)となります。
これは長距離を利用する、というときには嬉しいポイント。
該当するときには、必ず利用できるようにしたいですね。
詳細な条件①(本人のみ)
障害者割引の具体的な対象で紹介した中で、特に気になるのが、細かい条件ですよね。
これを押さえておかないと、結局、割引の対象外、となりがちです。
本人のみが利用するときは、片道101km以上のキップであることが必要です。
この距離がわからない、という方、とっても簡単に分かりますよ。
もちろん、分厚い時刻表を見る必要も無ければ、駅員さんにいちいち聞く必要もありません。
よく電車に乗るときに、どの電車に乗るか、時刻や乗り換え方法を調べますよね。
概ね電車の発着時間や乗り換えの方法だけではなく、キップの料金なども記載されています。
その料金などが記載されている中に、実は移動の距離も記載されています!
ただ全てのサイトやスマホアプリで記載されているわけではないのが、ちょっと残念。
もし普段利用しているものでは距離が分からない、という方は「YAHOO!JAPANの路線情報」にて調べてみてください。
検索結果の”ルート”の右上あたりに、乗り換え回数と一緒に記載されていますよ。
(※著作権等の関係で、図解できなくて申し訳ございません。わからない!って方は、お問い合わせより連絡いただければ、細かく解説します!(笑))
詳細な条件②(本人+介護者)
障害者本人だけではなく、介護者の方も一緒に利用する場合、注意点があります。
必ず、同じ種類キップで、同じ区間を利用し、かつ同時に購入する必要がある、ということです。
何となく早口言葉みたいですが、条件としては明確ですね。
例えば住んでいる場所は違うので、途中で合流して、ということはダメ、ということですよ。
障害者割引を利用する方法は?

まずとっても大切なこと。
必ず障害者割引を利用する際は、常に障害者手帳を持っていること!
どんなに障害者手帳を持っている、と主張しても、駅員さんに求められたときに提示できなければ割引を利用することは出来ませんよ。
さて、障害者割引を使ってキップを買う方法を紹介しますね。
方法、といっても、とても簡単です。
障害者手帳を持って、JRの窓口に行くだけ!
もし介護者も割引を利用する場合は、一緒に行くことを忘れないでくださいね。
ただし、今は「みどりの窓口」というキップを駅員の人が販売してくれる場所が、少なくなっています。
その場合は、改札にいる駅員の人に声をかけましょう。
さらに自動券売機で「小児用」で購入し、割引分の代用をする方法もあります。
ただしこの方法は、あくまで限定的な利用で、下記の条件を満たしているときです。
全ての場合に、この購入方法が適用されるわけではありません。
また必ず、有人改札(駅員さんがいる改札、窓口等)を通り、障害者手帳を提示する必要があります。
キップを購入するときに機械で買う以上、障害者割引の証明が必要、ということですね。
キップを買うときに窓口に並ぶのが面倒、という気持ちも、とても分かります。ただし「小児用」で購入する方法は、不正利用にもなりやすい方法のため、利用する際はきちんとルールを守りましょうね。
SuicaでJRに乗る場合の割引や方法は?

今や生活に欠かせないアイテムの1つが、Suicaですよね。
電車を利用する際は、わざわざキップを券売機で買うより、ピッとSuicaをかざして改札に入る方が多いはず。
ではそのSuicaで障害者割引を利用する方法、紹介します!
普通キップの場合
Suicaで割引を受ける方法は、とても簡単です。
改札に入るときは、ピッとそのまま入って、電車を利用します。
割引の適用を受けるのは、降りる駅!
改札でピッとして外に出たくなりますが、割引を受ける場合は駅員のいる窓口に行きましょう。
そこでSuicaにチャージしてある残高より、割引を適用した金額で精算をしてくれますよ。
その際は、障害者手帳の提示が必要となりますので、準備しておくとやり取りがスムーズに進みますね。
なおモバイルSuica の場合は、1度スマホを駅員さんに渡す必要があります。
スマホを他人に渡すのに抵抗がある、という方は、チャージのみ出来るカード式のSuicaを買う、というのも1つの方法ですよ。
定期券の場合
通勤や通学の定期で障害者割引を利用したい場合は、「Suica割引定期券」というものがあります。
こちらは購入するときに、窓口等で購入すれば、既に割引されているSuicaの定期券になっていますよね。(名前のごとくの説明ですみません。)
もしこの定期を利用しながら、いつも利用する区間以上の距離を利用するときは、必ず降りる駅にて改札に行きましょう。
乗り越し区間分の割引は、別途、窓口にて精算となりますよ。
障害者手帳でJRの割引を賢く利用しよう

電車は普段の生活にも、旅行などの楽しみにも使う重要な交通手段の1つです。
障害者割引は、利用条件が細かいので、色々と心配になったり、面倒であったりもします。
しかし利用できれば5割引となるので、お金の面で負担が軽減されるは事実ですよね。
ルールを確認しながら、賢く利用して楽しく遠出しちゃいましょう!
前に勤めていた会社だから言うわけではありませんが・・・
利用条件が細かいこと、内容に不満がある、という声があることも承知しています。
また利用する方法で、いちいち窓口などで駅員と会話をするのは面倒、という気持ちもわかります。
他の制度全般でも言えることですが、その不満等を不正利用に繋げないように注意しましょう。(私が言うまでもありませんが・・・)
障害者割引について、大げさに感謝する必要はありませんが、そもそも制度自体に不公平だ、と感じている人がいることも事実です。
そして障害者割引の安くなった分は、国から補助等が出ているわけではなく、各会社にて負担しています。
もし障害者自身が不正利用をしたり、本来は利用できない人が不正に利用することが横行してしまえば、制度自体がなくなりかねません。
ルールの範囲内で、正しく利用して、ちゃっかりお金は割引してもらいましょう!(笑)
ファイナンシャルプランナーの私としては、お金の利用方法で賢くいることは大切だ、と感じていますよ。
ファイナンシャルプランナー 山口 真未
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