こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。

「成年後見制度」って聞いたことあるけど・・・と、言う方。
制度自体も難しいですし、ニュースで悪い噂を聞いたことがある、という場合もありますよね。
とはいえ、公的な制度である以上、利用できるならという気持ちもあるはず。
ここでは、身体障害者の当事者でもある私自身が、制度を知った上でのメリット・デメリットをご紹介しますね。
※そもそも、「成年後見制度って?」という方は、こちらからご覧くださいね。
成年後見制度って、時々問題になっている

成年後見制度って、気になって調べると、意外と問題が起きているなんて、ニュースを見かけませんか?
悲しいことですが、成年後見制度は、100%万能な制度ではありません。
例えば親族によるお金の横領があって、本人にはきちんとしたお金が渡っていなかった、なんてことも。
これは誇張でもなく、事実として起きています。
ただし不正は正そうと裁判所等が、動いていることも事実。
成年後見制度だけではありませんが、完全な制度は難しい、とは念頭に置いておきましょうね。
※詳しく事例を知りたい、という方は、こちらから見てみてくださいね。↓
参考
裁判所 後見人等による不正事例(https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/koukenninhuseijirei/index.html)
成年後見制度を使う『メリット』は?

では、成年後見制度について、使うメリットはあるのか?と思いたくなりますが・・・
きちんとメリットはありますので、ご紹介しますね。
大きな使い込みは予防できる
まず大きなメリットとなるのは、お金の使い込みを防げることです。
例えば、高額の詐欺にあってしまった!
でも本人はそのことに、気付くことができないかもしれない・・・
本人以外の人(=後見人)がお金を管理するため、こんな事態は防ぐことができます。
また詐欺など以外にも、本人の好きなもののみに、一気に使いすぎてしまって生活が大変に、ということも未然に防げますね。
他にも銀行等からお金を引き出すことも、本人以外は基本的にできません。
ただ現金を使う、というだけでも、成年後見人が必要になるケースも考えられますね。
必要な手続きを代理で行ってもらえる(施設の契約など)
後見人のお仕事は、何もお金だけを管理することではありません。
本人に代わって契約ができる、というのも大切なこと。
具体的な例でいうと、施設への入所する際の手続き、介護保険の手続きなどがあげられます。
いやいや、本人が出来なくても、親族がやればいいのでは?と思いますよね。
しかし基本的に成人している以上、親族でも法的な手続きは代理することができません。
そのため未来まで考えたときに、法的な手続きもという場合は、使うメリットのある制度ですね。
相続に関する手続きも代理で行ってもらえる
相続なんて、先の話だしと思うこともありますが、実はとっても大切です。
例えば、ご両親と成人したお子さま(障害者)という場合。(※ここでは、他に親戚等がいないと仮定します。)
このケースで、お父さまが亡くなった場合は、お母さまとお子さまに相続が生じます。
ただお子さまが、障害により相続の手続きができない。
でもきちんと、相続の手続きさえ、お母さまがやれば問題ないのでは?なんて思いますよね。
しかし、お子さまが成人している場合は、ここでも法的に代理することができません。
あくまで成年後見人のように、代理ができる人が必要になる、ということですね。
成年後見制度を使う『デメリット』は?

メリットは、お金のことや手続きに関してが、主なものでしたね。
では、デメリットは?と気になる部分を、私の考えと共に正直に紹介します。
途中でやめることができない
まず大前提として、成年後見人の制度を使い始めた場合、途中でやめることはできません。
これは、ご両親や親族等が願っても、例外はありません。
基本的には、制度の利用を開始した後は、本人が亡くなるまで続くもの。
もちろん本人の判断能力が、元になっている制度のため回復した場合は可能性があります。
ただ正直、この条件はハードルが高いですよね。
そのため例えば、相続や財産の処分などが目的で利用を開始したから、と言って終わりにはできません。
法的な手続きは大切ですので、申請する目的になりがちですが、その後の未来も考えておきたいですね。
費用と手間が、めっちゃかかる
成年後見制度は、法的な手続きができる以上、とても厳格な制度。
そのため利用するまで、沢山の手間と費用が掛かります。
成年後見人を利用するには、複数の書類を用意し裁判所に申立てをしますが、診断書や登記の資料など難しいモノも多いのが事実。
正直、私自身も申請する方法を調べるだけで、ちょっと頭が痛くなるほどに。
また裁判所へ申立てるだけでも、費用は数万円以上かかります。
さらに、難しいから・・・と専門家を頼るなら、さらに専門家報酬も必要に。
決して、お安い金額ではない、と心にとめておきましょう。
※「詳しい費用は?」という方は、こちらからご覧くださいね。↓
報酬が高額になりがち
上の費用のお話にも通じますが、成年後見制度は利用し続ける限り、報酬が発生します。
この報酬とは後見人と、場合によっては後見監督人にも生じます。
報酬額は管理する財産にもよりますが、月に数万円以上かかることに。
せっかく困らないように、と用意したお金のはずが、報酬として支払われてしまう。
もちろんボランティアではない以上、必要なことです!
報酬があること自体を、否定したいわけではありません。
でも、もし自分の子供の場合なら。
例えば、”もしものとき”に困らないように、障害のある子供に残しておこう、と貯めたお金なら?
本当なら子供が喜ぶことに1円でも多く使いたい、と思いますよね。
しかも毎月の支払いが、本人が亡くなるまでと考えると、長期にわたってお金が必要になることが想定されます。
収入が少ない障害者の場合は、月数万円の出費となれば、手痛いもの。
利用するときには、軽い気持ちでは困るな、と実感しますよね。
お金の使い方に制約がある場合も
私個人としては、これが最大のデメリットかなと考えています。
それは、お金が自由に使えなくなること!
メリットで挙げましたが、大きな額の使い込みを防げることは、事実です。
ただお金の使い方って、本人の好き・嫌いが大きく関わりますよね。
本来であれば、どんな使い方をしても自由なはず。(もちろん、限度はありますが・・・)
その自由度が減るのが、成年後見制度でもあります。
例えば、趣味のためにお金を多く使いたい、にも制約が出てしまうのが現実。
当然ですが、大きく無理のない範囲であれば、お金を使うことはできますよ。
しかし後見人の立場としては、本人が未来まで安全に生活できることが第一になりますよね。
お金に限りがある以上、優先度が考慮されてしまうことは事実です。
成年後見制度”以外”の選択肢ってあるの?

成年後見制度のメリット・デメリットを見ると、ちょっと使うことにタメライを覚えますよね。
そこでココでは、他の選択肢をご紹介します。
しかも成年後見制度が使えない可能性の高い、身体障害者の方でも利用できますよ。
その制度とは、主に2つあります。
- 日常生活支援事業
- 家族信託
1つ目の「日常生活支援事業」は、公的な制度で、希望に応じて手続き等の援助をしてくれるもの。
その反面、2つ目の「家族信託」とは、財産を家族に託し管理等を任せるもの。
どちらも成年後見制度に似ている部分もあり、ぜひ比較して検討して欲しい制度です。
詳しくは、別の記事にて紹介しますので、お待ちくださいね。
まとめ

成年後見制度のメリット・デメリットを、障害者の目線でも掘り下げて書いてみました。
上でも紹介しましたが、法的な手続きが必要になるから、利用を始めたというケースも多いはず。
しかも急に必要になった、という場合も想定されます。
ただ大きなデメリットもある制度を、急な判断で利用するのは避けたいですよね。
まずは制度について知っておくことから、始めてみてくださいね。
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