固定金利VS変動金利は、住宅ローンあるある!?~障害者FPがあなたに選び方のポイントを解説~

家計・ライフプラン
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こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。

まみ
まみ

記事のポイント

いよいよ住宅を買おう!と決めた人なら、一度は疑問になるのが住宅ローンの金利について。

私はどれがいいの?安さだけで選択しても平気?

障害を持っている場合、気を付けたい事ってあるの?

ここでは住宅ローンの金利についてのお話だけでなく、自分に合っている考え方や注意ポイントを紹介します。

※そもそも障害者でも住宅ローンって組めるの?という人は、こちらからどうぞ↓

住宅ローンの金利とは?

住宅ローンの金利とは?

そもそも住宅ローンの金利って、何?という方もいますよね。

ここでは基本から、おさらいも含めて紹介しますね。

主に2つの金利がある

住宅ローンの金利とは、銀行に貸し出してもらったお金に対して払う利息分のこと。

住宅ローンで、返済額に影響するのは主に3つの点で考えられます。

  • 借入金額
  • 金利の利率
  • 返済期間

①の借入金額が多いか少ないかで、返済額が変わることは、とてもシンプルですよね。

②の金利の利率については、銀行や借入期間等によって変わるもの。

また、この後詳しく説明しますが、金利の種類によっても異なります。

最後の③の返済期間ですが、住宅ローンは概ね35年間のローンを組むことが多いかと思います。

簡単に言えば35年の間に返す予定で、家のためのお金として何千万円というお金を借金します、と約束するもの。

この期間が長いか、短いかによって、返済額が大きく変わりますよ。

金利の計算方法は?

注意したいのが、金利の計算方法について。

住宅ローンの金利は、表示されるときは「年1%」と元金(借入れたお金)に対して、1年間で支払う利息の割合を表示します。

ただし実際に支払う時は、借りている残高に対して「1%÷12カ月にした月単位」で利息が積み重ねっていく方式

そのため金利の数字だけでなく、借りている期間が1カ月でも長くなればなるほど、金利の重みが加わります

例えば、4,000万円のお金を借りて、金利が1%、返済期間が35年の場合。

返済期間中の内訳額を示したのが、以下の表です。(表は、クリックで大きくなります。)

毎月の返済額が減っていくとともに、利息が少しずつ減るのがわかりますよね。

※住宅金融支援機構のシミュレーションを使用し、筆者作成
※計算は全期間固定金利・元利均等返済・ボーナス返済無しで試算。

金利の変化だけでなく、最終的に返せるまでの期間も重要ということ。

借りている期間が1ヵ月伸びれば、その分利息を支払うことになります。

この返済が終わるまでの期間が、大切になることもある、と覚えて読み進めてくださいね。

固定金利とは

固定金利とは

では、金利の種類について紹介します。

わかりやすい固定金利から説明しますね。

特徴は?

固定金利は、正確には「固定金利型」といい、借入時点で返済期間の金利がすべて決まっているもの。

返済期間中に金利が上がることも下がることもない、と契約をします。

例えば、年利2%で借りると契約したなら、どんな経済状況になっても変わりません。

よって毎月の返済額が分かりやすく、変動の心配もないため、返済の計画が立てやすいのがメリットです。

ただし固定金利は、他の金利タイプと比べると高くなる傾向にあるのがデメリットですね。

また金利は、経済状況や他の金利等に影響を受けて決まります。

そのため低金利が続けば、結果として高い金利を払い続ける、となることも。

変動金利とは

変動金利とは

次に変動金利を紹介します。

住宅ローン市場では、こちらが圧倒的な人気を誇っています!(記事執筆時)

ただし注意点もあるので、よくよく制度を理解して、利用してほしいと思います。

特徴は?

「変動金利型」とは、一定期間ごとに金利の見直しがある、返済期間中に金利が変動するもの。

あくまで銀行等で提示される金利は、借入当初のもので、未来は約束されていないのが特徴です。

多くの場合は、変動金利は固定金利と比べて、金利が低いのがメリット

金利が変われば、返済額にも影響するため、少しでも低い金利で借りたい!というのが多くの人が思うことですよね。

その反面として、未来が約束されていないため、当初の見込みよりも大幅に返済額が増える可能性があるのがデメリット

例えば、金利が変わるだけで、どれだけ返済額が変わるのか。

上記と同じ例で、 4,000万円のお金を借りて、返済期間が35年の場合。 (表は、クリックで大きくなります。)

※住宅金融支援機構のシミュレーションを使用し、筆者作成
※計算は全期間固定金利・元利均等返済・ボーナス返済無しで試算。

金利が変わるだけで、月の返済額が1万円以上も変わるのが分かりますよね。

気を付けたい2つのルール

変動金利は、通常半年ごとに金利が見直されます

ただ上記で示した通り、金利の変化は生活に大きく影響するものですよね。

そのため、ローンの支払いが滞る人が多くならないように、2つのルールを定めています。(一部金融機関にはこの定めがない場合もあるため注意です)

  • 125%ルール(=金利が上昇しても、返済額が1.25倍以上にはならない)
  • 5年ルール(=金利が変わっても、毎月の返済額は5年ごとに見直す)

この2つのルールにより、いきなり返済額が何十万も上がる、という心配はありません。

それなら今は「変動金利が低い=お得♪」だから・・・と思った方!!

このパターンがあるコトを覚えておきましょう。

パターン①

変動金利で、上がる前に繰り上げ返済すればいーや!と思っていたけど、予想より早く金利が大幅に上昇。

一部は繰り上げ返済できたものの、残りの返済額は高い金利で計算されて・・・。

月の返済額が大幅に上がって、毎月の生活が苦しい

パターン②

金利が上がった分、利息の支払いも増えてしまった。

毎月の返済はなんとか、支払いがストップしないで済んでいるけど・・・。

なかなか借入金の元本が減らないから、ローンの返済期間が延びてしまった

パターン③

金利が上がっても、2つのルールがあるから大丈夫、と思っていたのに。

早々に金利が上がってしまい、返済額も早々に生活ギリギリのラインまで上がってしまった。

しかも金利が短い期間で大きく上がったため、5年ルールの間に「未払利息」が発生してしまった。

返済額が高いけど、ずっと利息しか払ってないから、元金の返済が全然できていない

変動金利って選択したらダメなの?

いやいや、金利が変わると言っても「最近は低金利時代だから、金利が低いままで変わらないじゃない?」という声も聞こえそうです。

1度でも銀行や不動産会社の方と話した方は、変動金利しかオススメされなかった、という方もいらっしゃるかも。

私は決して、変動金利は絶対NGです!とは、言うつもりはありません。

ただ、安いという理由だけで選択するのは危険です、とお伝えしたいだけ。

例えば、1980年代や1990年代の頃には、住宅ローンの金利が8%という時代もありました。

今は日本銀行(日本の中央銀行)の「ゼロ金利政策」のおかげで、金利が低い時代が”たまたま”続いています。

また銀行同士の競争により、金利の下げ合戦が行われた結果でもあるとも言われています。

住宅ローンは、将来まで含めて長い期間で借りる借金。

今の目先だけではなく、将来のことまで考えて金利を選ぶ、という視点も、ぜひ取り入れてくださいね。

実はミックスするワザもある!

実はミックスするワザもある!

ここまで、変動金利と固定金利の紹介をしました。

実はその2つの金利をミックスする、というワザもあるのでご紹介します。

〇年は固定金利(=固定金利期間選択型)

住宅ローンを借りた当初、何年かは固定金利で金利の変動を受けない、というのが「固定金利期間選択型」といいます。

何年を固定金利とするか、で概ね金利が変わるのが特徴で、銀行によっては取り扱っていないところも。

住宅ローンを借りたばかりのころは、頭金だけでなく引っ越しや新しい家具など、お金の出費が多くなりがち。

これは大きく、貯金を減らすことでもありますよね。

その貯金の穴埋めができるまでは、と一定期間は安心を増やせるのがメリットです。

その反面として、固定金利期間が終了した後は、金利が大きく変わることがデメリット

期間が終了した時の金利が新たに適用されるか、当初から金利を増やすことが計画されているものもあります。

また固定金利期間が終了後には、変動金利しか選べない、というものも。

契約する際は、細かい条件にも注意ですね。

土地と建物・パートナーで分ける

変動金利や固定金利という金利の違いですが、メリットもデメリットもあるから不安、という方。

ローンを2本立てにして両方を選択する、という方法もあります。

例えば、一軒家の場合は、土地と建物で異なる金利を選択する、ということも。

他にもパートナーと2人の別々の名義で借りる場合は、1人は固定で、もう1人は変動とすることもできます。

ただしローンが2本になることで、契約のための諸費用などが2倍になるのがデメリット

また銀行次第では、このミックスする方法ができない場合もあるため、要注意です。

固定金利も変動金利も選べない、どちらのデメリットも怖い、という場合にはリスク分散という考え方でミックスする方法も考えてみて。

結論!障害者の場合には?

結論!障害者の場合には?

住宅ローンの金利について紹介しましたが、結局、障害者の場合はどっちよ?とも思いますよね。

ここからは障害者FPとして、1つの目安に使える考え方を、質問形式でご紹介します。

金利のメリット・デメリットを見て、どう感じた?

固定金利と変動金利の違いで、将来の支払額が変化する可能性を紹介しましたよね。

あくまで可能性であり、結論として総額がどちらがお得になるのかは、誰にも分りません。

実際に住宅ローンの支払いが終わって、過去の金利を見てみるまでわからない。

では、「①お得感を期待したいですか?

それとも「②返済額が上がるのが怖いし、あまり未来を心配したくない」と思いますか?

もしあなたの回答が、①なら変動金利②なら固定金利、になります。

これはリスク許容度の問題で、どちらが正解でも不正解でもありません。

あくまで個人の価値観となるので、自分の性格タイプとして考えてみることも大切です。

今は安いし・・・と変動金利を選んだけど、金利の上昇が心配すぎて夜眠れない、では辛いですからね。

障害は未来にどう変化する?

次に考えたいのは、障害のことですね。

住宅ローンとは、一度組んでしまえば長い付き合いになることは必須です。

もちろん金額次第ではありますが、家を買うとなれば、さすがに2・3年で返済が終わるような金額ではないはず。

言い換えれば、その期間は収入が安定していること、稼ぎ続けることが必要ですよね。

では、「①将来はもしかしたら、仕事を休む期間があるかも」ですか?

それとも「②今の予想では、障害の程度も変わらない予定だし、働き続ける予定」ですか?

もしあなたの回答が、①なら固定金利②なら変動金利でも大丈夫かもとなります。

固定金利のメリットは、返済額が変わらないことですよね。

それは未来のために、返済額を貯金等で確実に用意できる、とも言えます。

大前提として長期間働けない期間がありそう、という場合には、住宅ローンは絶対オススメできません

しかし数か月の間なら、他の制度(例:傷病手当金)と組み合わせて、貯金で考えることができますよね。

変動金利で高い金額になるかも、となれば準備も大変になります。

その点、固定金利なら計画しやすくなる、というわけですね。

ライフプランの計画は?

住宅ローンとは長い付き合いになる、ということは、他の生活で出費するお金も絡むことになりますよね。

例えばお子さんがいる方なら、住宅ローンの支払いをしつつ、教育費+自分の老後の準備も必要です。

他にも障害のために必要な用具を定期的に買う、医療費が何年間に1回は高額になる、という場合には、そのお金も必要です。

住宅ローン以外にも必要になるお金を、同時進行で用意することは、とても大切なこと。

金利の変化があっても、他のお金も準備がどこまで出来そうか、というのがポイントです。

金利が上昇すれば、月の返済額が増えますが、それでも「必要になるお金が準備できそうですか?

残念ながら、これは人によって大きく異なるので、簡単に答えを出せるものでもありません。

金利の選択、という部分でも、ライフプランが重要になりますよ。

金利の選択にもライフプランを活用して

金利の選択にもライフプランを活用して

住宅ローンの金利について、一般的な説明から、障害者の方へ向けた選び方をご紹介しました。

支払額だけで比較したら、変動金利の低さはとても魅力的ですよね。

もちろん金利が低いまま、ずっと支払いが続くことを祈りたいですが、こればかりは誰にもわかりません。

ぜひ、ご自身の価値観でもあるリスク許容度や障害の未来予想図、そしてライフプランを活用して選んでいきたいですね。

ファイナンシャルプランナー 山口 真未

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