こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。

「お金を節約したい」と思ったときに、なかなか手を付けられないのが「医療費」では?
なんとなく聖域のようなイメージがあり、そもそも節約しよう、とはならなかも。
実は、一定のお金が掛かることは避けられないものの、節約のワザはあります!
また助成制度を受けている障害者の方は、関係ないと思ってませんか?
障害者の方でも保険診療外の治療費、医療費に直接は関係しないアレコレはお金がかかるもの。
ここではそんな医療費についての節約ワザや、障害者の方も覚えていて欲しい医療費に関係するお金を紹介します!
まずは福祉等の制度利用を考えよう

大前提とはなりますが、障害をお持ちの方、難病と診断された方。
まずは福祉制度や医療費の助成制度を利用できるか確認しましょう。
ざっくりとしたイメージですが、目安を紹介しますね。
詳しい制度の内容を紹介します。
制度を利用中の方は「当たり前でしょ」と思うかもしれませんが・・・
これらの制度は全て「申請主義」が原則です。
自分で申請しない限り利用できない制度のため、まだ使っていない、という方は早めに申請することで医療費の節約になりますよ!
福祉制度の障害者医療費制度
公的な医療費助成制度として、各自治体が設けている制度です。
対象となるのは、障害者手帳を持っている人の中でも、比較的重度といわれる方になります。
各自治体によって対象となる方は異なりますが、目安として「身体障害者手帳1級または2級」「療育手帳A」など。
医療費の支給方法も「現物給付方式」や「償還方式」などさまざまです。
障害者の場合は、自己負担額が所得によって設けられてることが多いため、注意ですね。
注意点があるもののこの制度を使えば、障害の元となる病気以外の診療(例:虫歯の治療)や薬代にも使えるため、該当する場合は積極的に申請しましょう!
このブログの読者は障害をお持ちの方が多いかと思いますので、「障害者医療費制度」と書きましたが、実際にはもっと幅広いもの。
障害者以外にも子供の医療費やひとり親家庭にも助成されています。
よく子供の医療費はタダだから・・・と聞くのは、この福祉制度のおかげですね。
指定難病医療費制度
病気の原因や治療法が見つかっていない病気、いわゆる「難病」とわかった場合は、「指定難病医療費制度」を使うことができます。
こちらは「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」によって定められており、どこの自治体に住んでいても認定を受ければ利用できる制度。
難病の定義も常に変わっており、対象となる病気も随時、追加されています。
詳しくは「難病情報センター」(https://www.nanbyou.or.jp/)に情報がありますので、参照してみてくださいね。
この医療費の助成制度を使うことができれば、所得による一定の自己負担額があるものの、大きく医療費を節約できます。
申請は各都道府県の窓口となりますので、詳しくはお住いの自治体に問い合わせてみてくださいね。
手当がある場合も
自治体によっては、難病と診断をされると手当てが出る場合も。
「難病患者福祉手当」や「難病患者見舞金」など、名称はさまざまですが、申請すれば一定のお金がもらえます。
自治体によっては、難病患者の定義が広い場合もありますので、ぜひお住いの自治体はどうだろう、と調べてみてくださいね。
自立支援医療制度
自立支援医療制度とは、心身の障害を軽減、進行の防止、機能の回復等のために、医療費の負担を軽減するものです。
対象者が細かく設定されていますので、参考までに紹介します。
この一定の条件に該当する場合、申請により自己負担額を軽減できます。
参考
厚生労働省 「自立支援医療制度の概要」
医療費節約のテッパン!

ここまで医療費の助成制度を紹介してきました。
これらは残念ながら、全ての方が対象とはならないですよね。
そこで医療費を節約する方法、まずはこれから!というものを紹介します。
保険証を忘れずに
とっても初歩的なところですが、病院に行く際は保険証を忘れずに持っていきましょう。
もちろん後から請求すれば、自己負担分以外は返ってきますが、請求手続きはやはり面倒です。
一時的にお金が出ていくことにもなりますので、必ず保険証は持参するようにしましょう。
かかりつけ医をもつ
病院などで「かかりつけ医をもちましょう」というポスターや掲示を見たこと、ありますか?
「かかりつけ医」とは、健康に関することを何でも相談でき、必要な時には専門医療機関を紹介してくれる医師のこと。
近所の小さな病院や診療所のお医者さん、というイメージでしょうか。
障害を持っている方は、病気に関しての主治医がいるかと思います。
主治医の方も、もちろん「かかりつけ医」の1人です。
かかりつけ医のメリットは、病気の変化に気づいてくれるだけでなく、お金の面でもメリットが。
それはもし、大きな病院へ転院する必要が出た場合に、紹介状を書いてもらえること。
これにより初めての病院でも初診料などを払うことなく、病院で診てもらえます。
初診料は病院ごとに自由で決められるため、数千円以上の出費になることも!
そのため「かかりつけ医」の存在は、とても重要です。
もし主治医がいない、という方や、主治医のところでは特定の病気しか見てもらってない、という方は、ぜひ「かかりつけ医」を持つことを考えてみてくださいね。
お薬手帳を持参する
皆さんはお薬手帳を持っていますか?
あまり薬を貰うことが少ない方だと、特別持っていないという方も多いですよね。
実はお薬手帳は、薬の飲み合わせや薬の重複が防げるだけでなく節約にも!
薬局で薬を貰う際は、「薬剤服用歴管理指導料」というものがかかります。
この指導料が、お薬手帳の持参で少しだけ安くなりますよ。
受診する時間帯に注意
病院は基本的に、通常の診療時間と時間外の診療とありますよね。
もちろん緊急の場合は、迷わず病院を受診してほしいのですが、緊急以外の場合。
時間外や休日などに受診することで、時間外による加算がされてしまいます。
これもきちんと、病院の通常時間に受診すれば節約に。
病院・診療所 (初診) | 病院・診療所 (再診) | 保険薬局 | |
---|---|---|---|
時間外加算 概ね8時前と18時以降 土曜は8時前と正午以降 | 850円 | 650円 | 調剤基本料と 同額を加算 |
休日加算 日曜日・祝日・年末年始 | 2,500円 | 1,900円 | 調剤基本料の 1.4倍を加算 |
深夜加算 22時~6時 | 4,800円 | 4,200円 | 調剤基本料と 2倍を加算 |
夜間・早朝等加算 18時~8時 土曜日は正午~8時 | 500円 ※診療時間内 でも加算 | 500円 ※診療時間内 でも加算 | - |
夜間・休日等加算 19時~8時 土曜日は13時~8時 | - | - | 400円 |
※医療機関や診療態勢によって、加算等が異なる場合があります。
※上記には健康保険が適用されます。
出典:全国健康保険協会ホームぺージ
「はしご受診」を避ける
病院を転々と、いろいろなところで受診することを「はしご受診」と言います。
この「はしご受診」も医療費の負担が大きくなる一因。
例えば、綺麗な新しい病院ができたから、今日はそっちに行ってみようかな、と病院を変えるたびに初診料がかかります。
もちろん、セカンドオピニオンの制度は、とても良い事です。
また難病の場合は、いくつも病院を変えたからこそ、見つけられた!ということもありますよね。
私自身も最初に掛かった病院では、専門ではない、ということで病院を変えた経験があります。(と言っても生まれたばかりの頃なので、記憶はありませんが・・・)
ただ例に出したように、その日の気分で病院を変えることはオススメできませんよ。
ジェネリック医薬品も活用して
薬局などでも多く目にする「ジェネリック医薬品」の言葉。
これも利用することで、節約につながります。
そもそも「ジェネリック医薬品」とは、特許が切れた新薬と同じ有効成分で製造された薬のこと。
薬の開発費がかからない分、値段が安いので私たちが払う薬代も安く済む、という仕組みですね。
もちろん使っている薬によっては、ジェネリック医薬品がないこともあり、全てにおいて出来ることではないかと思います。
ただ、もし病院の先生や薬局から提案されたときは、節約にもなることを思い出してくださいね。
入院した時の節約ワザは?

医療費は外来でかかる以外にも、入院することでもかかるお金がありますよね。
ここでは入院したからこそかかる、医療費の節約について紹介します。
差額ベッド代に要注意
入院するとよく見かけるのが、「差額ベッド代」という言葉。
医療費以外に実費で払うものとして、入院するとお金が掛かる1つの要因です。
これ絶対に払うもの、と思っていませんか?
実は差額ベッド代を払うのは、原則として患者が特別室を希望した場合のみ!
特別室とは、正式には「特別療養環境室」といい、1室4床以下、病室の面積が1人当たり6.4㎡以上という条件があります。
この条件を満たした部屋を希望したら、支払うのが原則。
しかし現実は、治療に専念するために1人部屋を勧められる、ということもありますよね。
もちろん病気の治療が最優先ですし、入院中の環境だって、自分で選択できるなら居心地のいい空間を選びたくなるもの。
とはいえ、差額ベッド代は大きな出費ともなりますので、お金と相談しつつ病院へ大部屋(多床室)を希望することも大切です。
なお差額ベッド代は、病院によっては入院すると必ず必要、という病院もあります。
その場合でも基本的には、部屋の人数に応じて差額ベッド代は安くなる、ことが多いもの。
長期入院が必要になった、というときは、病院に確認すると教えてもらえることもあるため要チェック!
医療費以外にもかかるアレコレ
入院することは、治療を受ける本人も大変ですが、家族にも大きな負担ですよね。
治療を受けるのが、大人か子供かにもよって大きく変わりますが、見舞いに行くための交通費も大きな出費になります。
もし毎日、遠い病院に通うことになったら。
電車でも車でも、往復移動のお金となれば大きな出費です。
残念ながら、見舞いのための交通費を助成してくれる制度等はありません。
そのため入院すると医療費だけでなく、付属して他にもお金がかかる、と備えることも必要。
高い医療保険に入る、ではなく、いざという時に使うお金、として医療費含め貯金をすることがオススメですよ。
ただし「治療を受ける本人が使う交通費」は後程、紹介する医療費控除の確定申告の対象になる場合があるため、レシートなどは捨てないでおきましょう。
子供の場合は尚、注意!
少しだけ私の経験を基に、医療費関係の補足。
もしお子様がいらっしゃる方は、上記で紹介した以外にもかかるお金がある場合も。
病院によっては、お子様の入院に保護者の付き添いを求められることがあります。
また病院が求めなくても、小さいお子様なら一緒に付き添いたい、と思いますよね。
その場合は、付き添い者が寝るベッドとして、ベッドをレンタルすることが必要。
さらに病院にいる間の食事代は、必然的に外食に頼ることになります。
もちろん付き添いをしている間は、仕事を休むことになるので収入ダウンは避けられません。
他にも病院によっては、付き添いが完全NGで面会時間のみ会える、という場合も。
もし病院が家から遠い場合、短期間なら家族はホテル暮らしを選択することもありえます。
自分の病気だけでなく、お子様がいる場合は「子供が入院したら」という時のための備えも考えたいですね。
私は子供の頃に3カ月間、入院したことがあります。(2カ所同時に骨折したため)
その時はたまたま、元々通っていた病院に入院となり、家からは車で20分程のところでした。
ただ入院していた病院は県立こども病院という、少し特別な病院のため長期で入院する子供も多いところ。
入院している他の子は、近くに病気を治療できる病院がない、という理由で県外から来ている、という子も多かったです。
私自身も子供だったので、当時はお金のことなど考えていませんでしたが・・・。
車で通うにも、遠いから通えなくて近くのホテルに泊まるにも、相当なお金が掛かるなと今なら思います。
医療費が高額になったら・・・

医療費の節約について紹介しましたが、積み重なれば大きな出費となり厳しくなるもの。
ここからは医療費が高額になったときに使える制度を紹介します。
高額療養費制度
医療費の自己負担が3割とはいえ、入院や治療費によっては高額になります。
そんな時に頼りになるのが「高額療養費制度」。
これは健康保険組合でも国民健康保険でも使える、強い味方です。
ざっくりいうと、1ヵ月の自己負担限度額を超えた場合は、超えた分が戻ってくる、というもの。
詳しくはこちらの記事を参考にしてくださいね。
年末には確定申告の準備を
もし医療費が高額になったら・・・年末に思い出してほしいのが医療費控除の制度。
その年の1月1日~12月31日までの間に、10万円を超えて支払った場合は、確定申告をすると所得控除が受けられます。
(年間で支払った医療費の総額 ー 保険金などで補填された金額)ー 10万円=医療費控除額
ちなみにこの医療費とは、何も病院で支払ったものだけではありません。
薬局でもらった薬や、市販の薬を買った、病院へ行くために使った電車代、なども対象となります。
(詳しい説明は、別途ブログとして、紹介しますので少しお待ちくださいね)
注意点は、この医療費控除は会社で行う年末調整ではできないこと。
個別に確定申告を行わなければなりません。
確定申告は、スマホ1つで出来る方法もありますので、こちらの記事を参考にしてくださいね。
医療費も節約できる!

医療費について、使える制度から節約ワザまで紹介しました。
節約というと食費や日用品などが思いつきますが、医療費もできることはあります。
日ごろの心掛けで節約できるもの多いはず。
もちろん病気の治療が何よりも最優先で、できないこともあるかと思います。
治療に使うお金の備えもしながら、小さな積み重ねとなる節約ワザも使っていきましょう。
ファイナンシャルプランナー 山口 真未
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