こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。
病院に掛かるとき、必須ともいえる健康保険。
「病院での支払いが3割になる」とは知っていても、その仕組みまでは知らない方も多いはず。
実は!会社で入る健康保険と、国民健康保険との違いを知らないでいると、損をすることも。
特に転職やフリーランスとして、在宅ワークに切り替えようかな、と考えている方!
当てにしてたのに!とならないためにも、ぜひご一読くださいね。
健康保険の仕組み

まずは、健康保険の仕組みからご紹介します。
「仕組みなんて知らなくても・・・」と思いがちですが、仕組みを知れば納得できる部分も。
簡単な言葉で説明しますので、ぜひサラッと、読んでみてくださいね。
皆で医療費を払う
日本は「国民皆保険制度」と言い、すべての国民が何かしらの健康保険に加入する仕組みを取っています。
これにより、国民みんなで医療費をお互いに負担し合い、助け合っていることに。
この助け合いにより、病院での支払いが医療費の3割で済む、という、「当たり前」を生んでいるんですね。
負担割合は?
「病院での支払いが医療費の3割で済む」って部分で、あれ?と思う人もいますよね。
よく「医療費の3割しか払わない」といいますが、実は『多くの人は』という注釈が付くのが正しい言い方です。

図のように年齢の区分によって、負担割合が異なるようになっています。
家族の中でも、お子さんは医療費の負担が安く済むようになっている、ということですね。
都道府県の心身障害者医療費助成制度(心身障害者医療費助成)は?
自己負担割合を見ても、まだ「あれ?私はそんなに病院で払ってないけど・・・?」という方。
それは都道府県による「心身障害者医療費助成制度」というもののおかげです。
主な内容は、重度の障害がある方へ向けて、医療費の助成が行われるもの。
では、対象者は?と知りたくなりますよね。
残念ながら、この制度は都道府県独自のものになりますので、住んでいる市町村によって内容が大きく異なります。
概ね、対象者は「身体障害者手帳1級・2級」「療育手帳A」などが基準になっているようです。
また方法も概ね、2通りあるようです。
1つ目は、事前に受給券を渡され、病院の窓口で提示すれば支払いを少なくする方法。
2つ目は、一度、病院で自己負担割合の3割を支払い、後から市町村へ支払った内容等を提出し、助成相当分を返してもらう方法。
対象者や支払方法等、気になる方は、ぜひ住んでいる市町村のHPを覗いてみてくださいね。
国民健康保険と健康保険の違いは?

日本は「国民皆保険」であると紹介しましたが、健康保険にも種類があります。
全員が同じ「健康保険」に加入しているわけではありません。
この違いが、意外と要注意になりますので、紹介しますね。
同じ健康保険なのに違うの?
健康保険には3種類あり、加入できる保険は職業や年齢によって決まっています。

概ね、健康保険のある企業に勤めているか、で加入する保険が変わるということですね。
また年齢によっても変わり、原則75歳以上になると「後期高齢者医療制度」という国民健康保険の2階のような制度に全員加入します。
制度の共通点
職業や年齢によって加入する健康保険は、制度の内容が少し異なります。
まずは、内容を比較した表を紹介します。

2つの健康保険を比較して、同じ部分もありますが、異なる点もありますよね。
ただし、健康保険に関わる医療費は原則3割負担で、年齢とともに負担割合が変わる、というのは同じです。
健康保険といえば、コレが肝ともいえるので、そこは変わりませんよ。
注意!制度の異なる点
では異なる点について、1つ1つ解説しますね。
実は、この異なる点が要注意ポイント!
特に仕事を変える予定の方は要チェックですよ!!
出産手当金
出産手当金とは、出産前42日と出産後56日の間、仕事を休んでいることによる給与の支払いがない場合に、支給されるもの。
いわゆる「産休」の期間中にお給料の代わりに支給されるというものですね。
この手当金が国民健康保険にはないので、出産を機にフリーランスに・・・と考えている方は注意ですね。
傷病手当金
傷病手当金とは、業務外の理由で連続で4日以上、仕事を休み給与が支払われないときに支給されるもの。
よくあるのが、病気で仕事をお休みをした際に、給与の代わりに支給されるというものですね。
連続して4日以上仕事を休んだ場合、4日目から最長で1年6カ月間支給されます。
健康リスクがある場合、給与の代わりに支給されるものは、安心材料の1つですよね。
ただし、この傷病手当金が国民健康保険ではありません。
そのため「仕事を休む=給料が減る」と生活に直結することは、要注意ポイントですね。
障害者の方は、特にこの点は要注意ポイント!
一概には言えませんが、障害がある、というだけで民間の保険には入りにくいですよね。
民間の医療保険に入っていない場合、仕事をお休みすると収入源がゼロになることも。
特に国民健康保険の方は、仕事を長期で休んだ場合、と想定してお金のことを考えてみてくださいね。
保険料の計算・支払い
基本的には、給与の額に応じて支払う、という点では、国民健康保険と健康保険に差はありません。
ただし注意ポイントは、国民健康保険は「前年の所得に応じて支払う額が決まる」という点です。
例えば、会社勤めをしていたけど、フリーランスに転職する、という場合。
前年の所得に応じて国民健康保険は決まるので、会社勤め時代の給与が高かったので支払いが厳しい、ということも。
他にも病気で休養するために、会社を退職したため収入がゼロなのに保険料が高い、ということも考えられますね。
その際は、所得や生活の状態により、国民健康保険料の軽減や減免がありますので市町村で相談してみてください。
支払い
会社に勤めている場合は、会社が健康保険料の半分を負担してくれています。
しかし国民健康保険の場合は全額自己負担になるため、国民健康保険に切り替えたという場合は高額に感じる可能性も。
フリーランスになろう、と考えている場合は、収入の状況も変わるはず。
滞納してしまう、という事態にならないためにも、事前にチェックしておくことも必要かもしれませんね。
家族の人数
会社に勤めている場合、家族が増えても税金が増える、という経験はあまりないはず。
どちらかといえば、祝い金がもらえたり、年末調整の際に控除の額が増えるなど、メリットばかりが思いつきますよね。
しかし国民健康保険の場合は、家族が増えれば人数に応じて保険料も増えます。
そのため例えば、子供の扶養者となる方が国民健康保険の場合は、少し注意ですね。
健康保険のよくあるQ&A

健康保険に関して、よく見かける疑問等に答えておきますね。
制度の内容については、上に記載済みなので、それ以外の内容で記載します。
会社を辞めたんだけど・・・・
企業に勤めていて、フリーランス(個人事業主)として独立しよう、とする場合。
健康保険には3つの選択肢があります。
3つ目はわかりやすいと思いますので、残りの2つの選択肢について、解説しますね。
①国民健康保険に切り替える
1つ目は、国民健康保険に切り替える場合。
この場合は、会社側には国民健康保険に切り替える旨を伝えて、退職日が来たら速やかに住んでいる市町村の窓口に行きましょう。
国民健康保険へ切り替えを済ませ、新しい保険証をもらいます。
保険証がないままで、病院に掛かると一度、全額自己負担しなければならない、など少々負担にも。
もちろん後から、支払った分は返金の手続きができますが、可能な限り避けたい事案ですね。
②健康保険を継続する
そして2つ目は、企業の時と同じ健康保険を継続する場合。
これにはメリット・デメリットがあります。
最大のメリットは、傷病手当金や出産手当金がもらえる点ですね。
もし退職した理由が病気や出産のため、ということなら、このお金は重要とも言えます。
また保険料が変わらない、家族の人数に関係なしというのもメリットの1つ。
その代わり、保険料が2倍になるという、最大のデメリットも。
会社の健康保険の場合、半額は会社が負担をしていましたが、その会社負担分も自分で支払うことになります。
これにより健康保険料が2倍になるので、大きな負担とも言えます。
また保険料の軽減や減免の制度はないため、退職して収入がゼロであっても関係ありません。
これは保険料が2年間変わらない、という点が計画が立てやすい反面、デメリットになる要因でもありますね。
退職したことで収入に変化があっても、2年間は健康保険料が一定のため、収入以上に高額になる可能性もあります。
さらに、継続利用を選択した後は2年間は変更できないため、支払いが厳しいから、と辞めることはできません。
どの選択をするかは、個人の収入状況や今後の計画にもよりますが、最低でも2年先まではざっくりと見通して選択してくださいね。
国民健康保険を払えない!どうにかする方法は?
収入の状況次第では、国民健康保険が支払えない、支払うと生活が厳しい、という場合もあります。
特にフリーランスで活動している、という場合は、収入に波があることも多いですよね。
その場合は、国民健康保険料の軽減・減免制度を利用することができます。
ただし要件が少し厳しいのも事実で、例えば収入の減少の場合、世帯主だけではなく世帯全員の収入状況も申告することになります。
さすがに1ヵ月だけ収入が厳しいから、というだけでは減免は厳しい、かもしれませんね。
ただし、会社の倒産や解雇、災害にあった場合、などは、すぐに相談してみましょう。
仮に、保険料を無断で納めない=滞納の状態になると、最悪の場合、保険証の利用を停止されることも。
そうなる前に、住んでいる市町村の窓口で相談してくださいね。
2020年の新型コロナウイルにより、収入が減ったという方!
新型コロナウイルスに関しては、国民健康保険の減免について申請することができます。
もしお困りの方は、市町村の窓口で相談してくださいね。
医療費が高額になりそうだけど、どうすればいいの?
医療費があらかじめ、高額になりそうだ、とわかっている場合。
例えば長期で入院して、手術まで控えている、など予測が立つこともありますよね。
その場合は、「高額療養費」という制度を利用することができます。
これは簡単に言えば、一定の金額以上は、支払わなくて済む、というもの。
ただし、これには入院中の食事代や歯医者での自由診療などは対象外となっています。
詳しい制度の内容は、別記事で紹介しますので、しばらくお待ちくださいね。
障害年金をもらっているけど、健康保険料の免除等のできるの?
健康保険料に関しては、軽減や減免の制度があります。
ただし軽減や減免ができるのは、主に以下の理由のみです。
このいずれかに該当しない限り、軽減や減免はありません。
そのため障害者手帳の有無や障害年金の受給状況は、一切関係ありません。
ただし障害年金しか収入がなく、生活が厳しい、病気の悪化で会社を自己都合退職せざるを得なかった、など色々な状況がありますよね。
どうしても健康保険料を納めるのが難しい場合は、市町村の窓口で相談してみてください。
健康保険の違いを理解して

健康保険は、医療を受ける上でとても重要な制度です。
普段実感している、自己負担3割だけでなく、他にもメリットがあり、いざという時に頼りになるものですね。
ただしその健康保険も加入しているものによって、利用できる制度に違いがあります。
頼りになる分、その違いは理解して、先々のお金を計画したいもの。
一度、ご自身の加入している健康保険で、どんな制度が利用できるのか確認してみてくださいね。
ファイナンシャルプランナー 山口 真未
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