保険に入るべき、入らなきゃ、は本当?~「障害者の自分は?」の考え方を紹介します!

保険
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こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。

不安なことが続く世の中では、不安が伝染するように色々なことが心配になりますよね。

その不安のお守りになるのが、「保険」の魅力の一つです。

では、よくある「保険に入るべき」とは、本当でしょうか?

また「保険なんて、入るだけ無駄!」とも言いますが、それも本当でしょうか?

また障害があるから保険なんて不要!と思っていませんか?

ここでは、「保険」について、「自分にとって必要か」と考えるときのヒントや考え方を紹介します!

保険に「入るべき」VS「不要」

お金について紹介する雑誌やネット記事などは、数多くあります。

その中でもよくあるのが、「保険」についての意見の相違ですよね。

読むモノによって、意見が全く異なる、なんてこともしばしば。

結局どっちよ!?って逆切れしたくなります。(私だけでしょうか?(笑))

ここでは、まずその問題から解決していきましょう。

保険に入っている人はどれくらい?

さて色々な保険がある中で、実際に保険に入っている人はどれくらいでしょうか?

あくまで一例ですが、生命保険では8割以上医療保険では7割以上がん保険では4割以上の人が加入しているそう。

やはり不安だから、何かしら対策をしたい、という気持ちの表れでもある数字ですね。

ただ保険に入っているという加入率以上に、その保険で満足しているか、安心しているか、というと違うのが現実です。

出典

(公財)生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」より

「入るべき」VS「不要」

お金の本や雑誌、ネット記事などで見かける保険に「入るべき」VS「不要」論。

実はどちらも正解で、どちらも不正解とも言えます。

よくある理論について、検証しましょう!

保険不要論!

不要派
不要派

日本は公的医療が万全!

何かあっても社会保障で賄えるのでしょ?

医療保険やがん保険など、医療関係に関する保険は不要でしょ!

障害者FP
障害者FP

確かに、日本は健康保険が充実していますね。

では本当に、その健康保険だけで十分か、検討してみましょう!

公的な医療保険(健康保険)

よく言われる日本は社会保障が充実しているから論、ですね。

わざわざお金をかけて、保険に入る必要なんて無し!とは、節約したい人には、ありがたいお言葉。

確かに日本は健康保険が充実しており、基本は医療費のうち3割しか、支払う必要がありません

これはがんになって、手術や長期入院、長い通院生活になっても、変わりませんよね。

また自己負担が3割でも医療費が高額になったときは、医療費の「高額療養費制度」もあり、一定金額以上の支払いはありません

これは最近SNSで、健康保険のありがたさと、医療費の明細を画像でアップしているのを見かけますね。

ただし!医療費には、自己負担割合の落とし穴ともいえる、見落としもあります。

健康保険の対象外となる項目が意外と多く、特に入院するときは自己負担額も大きくなりがち。

また病院への通院となると、そこまでの交通費もかかることになります。

さらに、加入している健康保険によっては、仕事を休んでいる間の収入保障がない場合も!

仮に収入がゼロになっても、入院生活に不安がないほどの貯蓄あるか、検討してみましょう。

健康保険や高額療養費制度については、こちらの記事も参考にしてくださいね。

保険必要論!

必要派
必要派

やっぱり”何かあったとき”には、保険が頼りになるはず!

そのために色々な保険ですべてのリスクをカバーしているの!

親にも「保険は入っておくべき」と言われたわ。

障害者FP
障害者FP

保険はリスク回避には、重要な手段ですよね。

でも全ての保険が、全ての人に必要、とは限りませんよ!

入れるなら「保険は入っておくべき」は本当??

おそらく、この記事を読まれている世代(20~40代)の方は、親世代に「保険は入っておくべき」と言われたことがあるはず。

また「保険は入れるうちに、入っておくべき!」とも。

この言葉が正しい一面もありますが、保険が不要な場合もあるのが事実です。

まず前提として、親世代(60代以上)の方々の時代と、保険の仕組みやメリットが異なる、ということ。

昔は保険で払ったお金が、予想以上に増えて返ってくることも多かったそう。

また死亡保険についても、少ない掛け金で何千万円と支払われる保険が商品として、多くありました。

しかし今は残念ながら、そんなに良い保険は存在しません。

それよりも色々な保険に入っているため、毎月の保険料が負担になり、毎日の生活が苦しくなる、ということも多いです。

保険には色々な種類があり、保険のCMや相談窓口などに行って、話を聞くとつい、「入っておいた方が安心かも」と思いがち。

しかしその「誰かの話」は、自分にとっての事実とは異なる場合も多いはず!

全ての保険が必要か、きちんと「自分にとって必要か」を見極めてみましょう。

そもそも保険に入る目的は?

高い保険に入っている、悩んだけど一応加入した、という人が多いのも、保険の特徴の一つ。

そして加入しているけど、満足感や安心感がない、という人も多いはず。

では、そもそも保険に入る目的は何でしょうか?

「もしも」に備える

保険は「リスクマネジメント」とも言われ、「万が一」に備えて入るものですよね。

日常生活に、”もしかしたら、あるかもしれない”リスクに対して、最小限のダメージで済ませたい、大きな損害は回避したい

その想いで色々な保険に入っているかと思います。

では、そのリスクはどれくらいの可能性があるか、把握していますか?

そのリスクに対する、ダメージや損害のお金はいくらでしょうか?

実は、この疑問に対して曖昧なほど、保険に対して安心感がなくなり、「無駄なのでは?」との意識に繋がるとも言えます。

「もしも」の種類は?(保険の種類)

まず、保険についても問題解決の前に、基本のおさらいです。

保険は主に、3つの種類に分かれています

保険の種類(一例)
  • 人の生死に関する保険・・・・生命保険(死亡保険)、個人年金保険
  • ケガや病気に備える保険・・・医療保険、がん保険
  • 偶然の事故に備える保険・・・火災保険、自賠責保険

「保険」と一口に言っても、書いてみるといろいろありますね。

保険はこのリスクに対して、自分にとって必要なものを、必要なだけ準備する、というのが基本となります。

「もしも」ってどうやって考えるの?

さて保険で備える「万が一」とは、どのように考えるのでしょうか。

やはり、その「万が一」にあった場合を想定して、リスクを計算してみるのが一番ですね。

簡単にシミュレーションしてみよう!

リスクの計算は、色々なパターンを考えるとキリがないのも事実。

まずはここで、シンプルに、簡単にシミュレーションしてみましょう。

リスクに必要なお金がわかったら、今の貯金額と比較してみてください。

とても単純ですが、「万が一」に必要なお金が貯金でどうにかなる、というのであれば保険は不要です。(あくまで極論です)

「貯金では足りない!」「貯金がほとんど無くなるし、その後の生活が不安だよ」、という場合には、保険の加入を検討しましょう。

生命保険編

1つ目の保険は、生命保険編です。

いわゆる、死亡保険と言われ、何かあったときに残したいお金、ということですね。

検討するときに重要なのは、家族の状況です。

パターン別に紹介しますね。

独身の場合

20代の独身の方であれば、扶養している家族はいない場合が多いですよね。

冷たいようですが、亡くなったときの死亡保障を手厚くしても、経済的に必要となる人がいません。

そのため死亡保障よりも、貯蓄額に応じて医療保険やがん保険仕事を休んだ時の給料の代わりになるような保険を重点的にしましょう。

もう一歩踏み込んで

さて、ここまではよく書いてあることですが、障害者FPの私としては、さらにもう一歩踏み込んで考えてほしいところ。

よく上に書いたようなストーリーがあって、「20代なら死亡保険は要らない」という文章を見かけます。

では、そのストーリーは「自分」にとっての、真実でしょうか?

何かあったとき、ご両親やご兄弟にせめてお金を残してあげたい、という環境の方もいます。

ぜひ「20代だから」「独身だから」という、言葉に惑わされずに、「自分にとって」必要であれば、保険への加入を検討してくださいね。

既婚やパートナーがいる場合

既婚者の方やパートナーとなる人はいるけど、お子さんがいない場合。

この場合は、お互いが仕事をしているかが重要になりますね。

お互いに、安定して仕事をしている場合は、死亡保障はあまり手厚く考える必要はありません。

何かあったとしても、自分の仕事による収入で生活の保障はできるため、です。

そのかわり、医療保険やがん保険などに目を向けましょう

例えば病気になったときに、一方の収入が無くなっても十分に治療に専念ができそうか、検討してくださいね。

その反面、一方が仕事をしていない場合は、状況に応じて保険への加入を検討してください。

既婚やパートナーがいて、子供がいる場合

死亡保障で最も手厚くすべきなのが、お子さんの存在ですね。

もしお互いに正社員で、安定して働いているし、何かあっても一方の収入で生活はできそう、と思う方。

お子さんを含めて生活費だけでなく、将来の教育費などにまで目を向けてみましょう。

またお子さんが小さい場合は保育に掛かるお金など、仕事をするが故に、費用がより必要になる場合もあります。

例えば、生活費・家賃・教育費、など分けて、必要になるお金を計算してみるのも1つの方法ですよ。

医療保険・がん保険編

2つ目の保険は、医療・がん保険編です。

保険の中でも、「入るべき」VS「不要」と論争される分野、とも言えますね。

医療保険

まずは入院するような病気になった場合に、医療保険が必要になるか、という問題。

これには上でも紹介した通り、健康保険や高額療養費制度が助けになることが多いです。

そのため医療費は、概ね入院・手術となっても、自己負担額は1カ月当たり9万円程度でOK。

医療費以外にも、健康保険の対象外となる、食事代や日用品など、必要になるお金は色々とあります。

それでも、概ね貯金で50万円以上あれば、医療保険は不要と言えますね。

ただし、健康保険の種類によっては注意が必要です。

例えば、国民健康保険の場合は傷病手当金がないため、「病気で仕事を長期で休む=収入がゼロ」となります。

よく見かける「傷病手当金があるから、収入の心配もいらない!」という言葉には、注意ですよ。

障害者の方も注意!

障害者の方の中には、医療費のうち健康保険部分は公的補助により無料になっている方もいますね。

また保険を検討しようにも、医療保険は病気の告知により、加入できない方も多いはず。

保険の加入は覆せませんが、リスクが同等であることは事実です。

今ある障害の病気等だけでなく、他の理由で入院や手術になる可能性はありますよね。

その場合は貯金で足りるか、傷病手当金などは貰えるのか、など確認しましょう。

がん保険

がん保険のよくある文言としては、「がんになると高額の医療費がかかる」「先進医療は健康保険の対象外だから保険に入らなきゃ」というもの。

これも他と同じく、真実であり、誤りでもあります。

まず、がんの治療も健康保険の対象の治療であれば、医療保険と同じく自己負担は軽減され、さらに高額療養費制度の対象となります。

では、がんになるリスク、がんになる可能性に目を向けましょう

今やがんは2人や3人に1人なる、とまで言われています。

がんの治療といっても近年は、入院日数が短くなっているため、費用もそこまで高額ではなくなっています。

ただし、その場合に心配になるのは、入院や手術による医療費等よりも、治療の長期化

今は入院せずとも、通院により治療が長期化すれば、その分医療費等の負担も大きくなります。

また治療の長期化により、仕事へ全力が注げないことによる収入への影響もありますね。

仮にがん保険で受け取ったお金は、治療のためだけに使うお金ではありません

生活費の代わりに、がん保険で受け取ったお金を使うこともできますよ。

またがん治療で聞くのが、健康保険の対象とならない先進医療の可能性ですよね。

統計での話ではありますが、がん治療に先進治療を使っているのは、ごく一部。

厚生労働省の統計をみると、がんの罹患者数は約101万人以上なのに対して、先進医療の患者数は約4万人程度と、たった約4%!

しかもこれはあくまで全がん患者に対しての確率の話であって、そもそも先進医療が受けられる状況であるかという問題も。(がんの種類や治療の方針など)

先進医療の特約を付けるか、は保険の内容等によって検討する、というのも1つの方法ですね。

※このがん保険については、別記事で詳しくご紹介しますので、今しばらくお待ちください。

障害者の方が入れることも!

保険と聞くと、障害があるから絶対に入れない、と思っていませんか?

実はその認識は、間違いです。

もちろん選択肢が狭いことは事実ですが、条件などに他の人と変わりなく入れる保険があります。

その代表的なものが、「がん保険」です。

保険会社にもよりますが、持病の告知内容で「がんの罹患」などしか申告しない場合もあります。(例:過去にがんになったことはありますか? など)

障害を持っていても、がんになる可能性は平等にあるはずで、備えてほしいものの1つ。

特に女性は乳がんや子宮頸がんなど、女性特有のがんのリスクもあります。

ぜひ「保険なんて絶対に無理!」と思わず、サクッとネット検索などしてみてくださいね。

「万が一」編

3つ目は「万が一」編として、火災保険や地震保険と損害保険についてです。

火災保険や地震保険は、家の購入時や賃貸として借りたときに、加入しますよね。

これらも何かあったときに、と入る保険の1つです。

おそらくこれらの保険は、家の購入時などに適切に入っている方が多いですよね。(内容はともかくとして、加入の有無については)

そのためここでは、損害保険にだけ触れておきます。

損害保険とは、誰かをケガさせた、お店で高額の商品を壊してしまった、などといったリスクに対する保険。

これはどんなに気を付けていても、生じてしまう可能性がありますし、その場合には損害賠償請求などで高額になることも

でもあまり、損害保険に入った方がいい!などとは聞かないはず。

何故、お金の本や記事などで話題にならないか。

損害保険は多くの場合、何か他の保険などのオプションとして、無料や数百円の負担で入ることが多いためです。

またご家族と同居されている方は、他の家族の方の保険で家族全員が対象となる場合も多いですね。

そのため気を付けてほしいのが、1人暮らしの方や家族で住んでいても、世帯が別という方!

障害者の方で、何も保険に入っていない、という場合にこの損害保険が抜けている場合があります

損害保険は、数百円で入れる保険も多い分、自分以外の相手がいるため、損害賠償などには備えておきたいですね。

保険は「何かあった!」のときのもの!

保険は未知のリスクに備えるため、安心材料でもあり、無駄に感じてしまうものですよね。

またよくわからず、何となく入っている、ということも多いです。

しかし安心だから、といって高額なものに入って、毎日の生活が苦しいのでは本末転倒。

さらに「何かあった」ときに、役に立たないものばかりでも、困りものですね。

”誰か”や”多くの人”の場合ではなく、自分のためのリスクを検討して、必要な保険を見極めてくださいね。

ファイナンシャルプランナー 山口 真未

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