こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。

日常生活の中で、なんとなく考える機会が訪れるのが家のこと。
賃貸住んでいる方、ご家族と実家に住んでいる方。
「そろそろ家を買おうかな?」と思ったとき、同時に気になるのが「そもそも私は買えるの?」ということ。
障害者、ということが1つネックになるのではないか、という不安がありますよね。
ここではその疑問への回答と解決方法、注意点をご紹介します!
※家について、考え中という方はこちらから↓
そもそも障害者でも住宅ローンは組めるの?

障害者であること、また障害者手帳を持っている、ということで気になる。
「そもそも住宅ローンは組めるの?」という疑問。
まずは結論から、ご紹介します!
結論:住宅ローンは組める!
障害者の皆さま、安心してくださいね。
きちんと住宅ローンを組むことは可能です!!
障害者であること、また障害者手帳を持っていることだけで、住宅ローンを断られることはありません!
これは私も気になり、不動産の売買を担当する複数人に聞きました。
結果、「障害者であること」を理由に断ることはない、と伺いました!
ただし条件はある
ただ、残念ながら住宅ローンは一種の借金である、ことも変わりありません。
借金であり、多額のお金が動く、ということで条件もあります。
借金をするからには、お金を貸す側である銀行には担保が欲しくなる、と理解できますね。
ではその担保とは何か?
まずは買う予定になる家や土地そのものが、銀行側としては担保になります。
住宅ローンを借りている人は、ほとんどの場合、買った家を担保に借りているかと思います。(よほどの大金持ちという場合は、違うものを担保に登録するかもしれませんが・・・)
そしてもう一つが、「団体信用生命保険」という保険に加入するということ。
例えば住宅ローンを借りている本人に、もしものことがあったとき。
残念ながら、死人からお金を毎月、支払ってもらうことはできませんよね。
もしもの場合は、銀行はこの保険から残りのローンを回収する、という流れになっています。
この団体信用生命保険が、障害者の場合は大きな条件、とも言えます。
詳しく、下で解説しますね。
住宅ローンを組むための条件とは?

住宅ローンを組むときに、必ずと言ってもいいほど出てくるのが借入の条件です。
既に上で出てきた言葉、「団体信用生命保険」について。
それともう1つ気を付けたいのが、収入の問題です。
障害者の方の場合、特に気を付けておきたい点を交えながら紹介しますね。
団体信用生命保険に加入すること
最大のネックとも言えるのが、「団体信用生命保険」(以下、団信)への加入です。
団信は銀行側としても、もしものときにローンの残りを確実に回収できる唯一の手段。
また自分にもしものことがあった時に、家族が安心して住み続けられる場所を残せることになります。
銀行側としては、この団信への加入を絶対条件に挙げていることがほとんど。
そして団信には、健康状態の告知義務があります。
名前のとおり団信は生命保険でもあるため、健康状態の告知項目により入ることができない方が。
「団信の加入を断られる」=「銀行で住宅ローンを組めない」となってしまうことも。
このため障害者の方の場合は、住宅ローンを組めないのでは?という疑惑に繋がります。
ただし間違えないで欲しい点は、障害者手帳を持っている=団信の加入ができない、わけではありません!
あくまで健康状態の告知によるため、手帳の等級や現在の治療状況などを鑑みて加入の有無を判断されます。
ただ障害があることや障害者手帳を持っていることで、なかなか生命保険の加入が難しいことも事実。
それでは住宅ローンが借りられないじゃないか!と思った方!
しかし最初に結論でお話した通り、きちんと方法はあります!!
ココでは銀行で住宅ローンを借りるためには、団信が条件になることがほとんどである、とだけ覚えて読み進めてくださいね。
収入が少ないと難しい
2つ目の条件になるのが、収入の条件です。
住宅ローンを借りるときには、どこに勤めていて、年収がいくらでという情報を提供します。
銀行側としても収入がゼロの人に、お金を貸すことはできませんよね。
そのため住宅ローンを借りる人の信用度が大切になります。
信用度の1つとして、収入の金額や勤めている会社の状況で判断します。
よく言われるのが、正社員か契約社員か、または会社勤めか自営業やフリーランスか。
障害の有無に関係なく、残念ながら安定した収入がない限り、銀行でローンを組むことはできません。
さらに、信用情報にブラック情報として載っている場合も厳しいです。
例えば、クレジットカードの支払い滞納。
住宅ローンを組むときに、団信は通ったのに!というときは、収入や信用情報が影響していることが多いので注意ですね。
団信が入れないと100%ムリ?→NO!

住宅ローンを借りるのに、銀行なら団信が条件、と紹介しました。
ただ「多くの銀行なら」という場合で、他に住宅ローンを組む方法はあります!
では実際に、障害者の方の場合、多くなるであろう選択肢を紹介しますね。
「フラット35」という選択
住宅ローンの借入先として、銀行以外にも選択肢があります。
それが「フラット35」という住宅金融支援機構の公的機関を利用すること。
正確には、フラット35と提携している銀行で借り入れることです。
フラット35は団信の加入が任意のため、団信の加入なしで借り入れOK。
ただし団信なし、ということは、もしものときに支払い義務が残ることになります。
簡単に言うと、住宅ローンを払っていた本人が死亡しても、家族が返済義務を負うことになるということ。
もし家族が返済できない場合は、銀行に家を強制的に差し押さえられます。
それで返済が完了すればいいのですが、最悪は家を失っても更に借金が残ることに。
団信に加入しない場合は、家族に大きな負担が残ることを考えることも大切。
またフラット35の場合は、金利が固定金利のみ、基本は頭金が必要になる、住宅の技術基準に一定の条件があるなども注意です。
(※固定金利については、別記事にて紹介しますね。)
銀行次第では可能なところも
この記事の執筆現在、という条件付きですが、フラット35以外にも貸し出してくれる銀行もあります。
住宅のための借入のみ、という限定で「東海ろうきんの『ふれ愛住宅ローン』」(トップページへのリンクはこちら:https://tokai.rokin.or.jp/)というものがあります。
障害者手帳をお持ちの場合でも利用者がいるようなので、住宅ローンを借り入れる際は検討の余地ありかもしれませんね!
パートナーがいる場合は別の方法も
1つの方法として、パートナーがいる方の場合。
パートナーが健常者の場合は、パートナー名義で借りるという方法もあります。
これには2つのメリットがあり、「団信に加入ができること」と「銀行を選べる余地がある」こと。
まず「団信への加入」は、もしものときに安心なだけではありません。
今はがんになったら、3大疾病になったら、など死亡時以外のリスクにも備えることができます。
団信の内容やプラスで加入するオプション次第ですが、がんの診断でローンが全額免除になる、ということも。
団信に入れることで、このようなメリットが得られるなら、と考えることもできますよね。
次に「銀行の選択」では、団信を選べるだけでなく、金利を比較することもできます。
長い目で見たときに、例えば35年ローンなら35年後を想像することが必要。
その35年後までを考えれば、金利の差や団信の安心感は大切なもの。
パートナーがいる場合には、少し考えて欲しい事項です。
パートナーの方がいる場合は、単独で借りる以外にも夫婦連帯で借りる、という方法もあります。
またご家族と一緒に、「親子2世代型」という方法もあります。
これは将来ご家族との同居を考えている、という方は選択肢の1つになりますよ。
注意!借り換えにも審査がある
住宅ローンは、1度借りたら終わり、とならないこともあります。
例えばこっちの銀行に変えたら、金利が安くなるから月々の返済が楽になるのにな、ということも未来にはありえます。
これを「住宅ローンの借り換え」といいますが、借り換えの際にも団信による健康状態の告知が必要。
どんなに安い金利にしたくても、健康状態でNGとなることもあります。
健康だった人が、借り換えの時には障害を負っている、という場合でも借り換えが難しくなることも。
よって、「金利が高くなったら、安い銀行に借り換えればいいや」とは、出来なくなります。
最初の住宅ローンを組むときには、よく考えて、借入先や条件等を選別することが必要ですね!
障害者でも住宅ローンは組める!

住宅ローンは、障害は関係なく組むことができる!
ただし、注意することも多くあることを紹介しました。
何度も言うようですが、住宅ローンは借金であることに変わりありません。
当然、収入以上に高額なお金を借りれば、日々の生活が苦しくなります。
せっかく将来まで住みやすい家を考えたのに、住み心地は良いけど食べるものが・・・では本末転倒。
ぜひ家を買う時には、ライフプランをしっかり計画してからがオススメ!
特に障害者の方の場合は、日々のお金でも使い方が変わります。
日々のお金の使い方が変われば、未来図も当然変わることに。
しっかりと先を見据えた、ライフプランを作り上げてから、安心して住宅ローンに臨んで欲しいと思います。
さて次回は、住宅ローンの固定金利や変動金利について、紹介します。
私自身も、住宅ローンの仮審査にチャレンジしたことがあります。
障害者手帳の写しや障害年金の受給など、証明書を提出した上で、審査をお願いしました。
結果、団信の加入はできなかったものの、住宅ローンの仮審査は通りました!
あくまで仮審査で、本審査の段階でダメだった可能性もありますが、障害があることや障害者手帳の所持は関係ないことの証明にはなりますよね。
ただ残念ながら、住宅ローンを通した物件では、私にとってのバリアフリーが不足していたので購入までは至りませんでした。
ファイナンシャルプランナー 山口 真未
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