【相談事例】突然で、どうすれば・・・~脳内出血で倒れた方からのご相談

家計・ライフプラン
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こんにちは!障害者ファイナンシャルプランナーの山口真未です。

まみ
まみ

記事のポイント

人生で起きて欲しくないこと、かもしれませんが、突然の病は誰にでも可能性があること。

突然だからこそ戸惑うし、どうすればいいのか、とパニックにもなります。

今回、ご相談をいただいたので、了承を得て皆さまにもご紹介しますね。

記事の概要と結論
  • 日常生活に影響が出るような障害が残った。何からするべき?
    → まずは医療費の申請を
  • どんなお金の制度が利用できるの?
    → 障害者手帳による手当障害年金の受給が可能かも
  • 家族にも頼れない状況。未来のお金はどうすれば?
    → 状況次第では、ためらわずに生活保護の申請

ご相談の内容

先日、突然のことで、これからどうすれば・・・とご相談をいただきました。

まずは相談内容、紹介しますね。

50代女性・N様
50代女性・N様

実は夏頃に、脳内出血で突然、倒れてしまいまして・・・。

幸いにも退院しましたが、入院費もかかったし、今後の生活やお金のことが不安で。

貯金もありませんし、家族にも頼れない状況ですが、日常生活にも介助が必要な状況です。

とても仕事が出来ないので、今後の生活をどうすればいいのか、わからなくて。

何から始めればいいのか、どんなお金の制度があるのか、教えてください。

ご相談ありがとうございます!

特にお金のことは、途方もないように感じますよね。

とても不安なご様子が伝わるご相談で、本当に心苦しい限りでした。

まずは、ご相談者のN様のご相談内容を整理しましょう。

相談内容の要点
  • 日常生活に影響が出るような障害が残った。何からするべき?
  • どんなお金の制度が利用できるの?
  • 家族にも頼れない状況で、未来のお金までどう考えればいいの?

それでは結論から、ご紹介しますね。

結論:公的なサービスで、お金の負担を減らしましょう

結論から先に言いますと、公的なサービスをフル活用して、少しでもお金の負担を減らすこと。

申請ばかりで大変ですが、一部お金が返ってくるだけでなく、新たに貰えるものもあります。

中でも今回のご相談者様の場合、介護保険の認定が最優先

というのも「介護が必要」と認定されれば、介護サービスの利用ができます。

他の制度のように、申請するまで待つ期間がないのもポイント。

これだけでも、家での介護等を費用が少なく利用できます。

なお、ご相談者様は病院での入院中に、介護保険の認定を行ったため、ここはクリアしていました。

では次に行うものを、順番にご紹介しますね。

  • 医療費の申請(高額療養費)
  • 障害者手帳の申請
  • 障害年金の申請
  • (状況により)生活保護の申請

なお、④に関しては状況次第で、順番が前後する可能性があります。

ただし、まず初めに行うのが、医療費の申請がオススメかなと考えます。

その理由と共に、今回のご相談者様が利用できる主な内容等をご紹介しますね。

介護保険の認定を受けると、デイサービス等以外にも、在宅での介護や看護が利用できます。

また住宅の改修や福祉用具の購入、レンタルにも補助が出ます。

ただし、介護保険の認定状況にもよりますので、ご注意下さいね。

①医療費の申請(高額療養費)

高額になりやすい入院費用は、直接、お財布を直撃する痛手ですよね。

まずは、病院でかかるお金を減らす制度を利用すること。

大きく支払った入院費だけでなく、今後の通院費用も抑えられる場合もあります。

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、1ヵ月にかかった医療費が高額になった場合、自己負担額を超える分が払い戻される制度のこと。

これは公的な健康保険に加入している人であれば、誰でも利用できます。

例えば70歳未満の場合、年収370~770万円なら、自己負担額は約9万円ほど

また今後も高額になる場合は、「限度額適用認定証」の交付を受けることも可能。

この認定証があれば、病院の窓口等で提示することで、自己負担額以上の支払いはなくなります。

ご相談者様には、まず今回の入院でかかった費用を、一部返してもらう手続きをすること。

今後の通院計画次第で、 「限度額適用認定証」の交付がオススメであることをご紹介しました。

※詳しく、制度が知りたい方は、こちらのブログを参考にしてくださいね。

②障害者手帳の申請

次に行うのが、障害者手帳の申請です。

ここでは、今回のご相談者様の場合の条件を整理しますね。

障害者手帳の取得には

今回のご相談者様は、脳内出血で倒れたとのこと。

この倒れた日から、概ね6カ月程度が経過したら、障害者手帳の申請ができます。

とはいえ、医師の判断にもよるので断定はできません。

あくまで障害者手帳は、症状が一定以上で永続することが必要となります。

この点は、医師の判断次第とはなりますが、6カ月を経過した段階で医師に相談することをオススメしました。

なお申請から交付までは、概ね1~2カ月程度かかりますので、早めにご相談できるとベストですね。

障害者手帳で利用できる制度

今回のご相談者様の場合、利用できそうな制度を一部ピックアップしてみます。

障害者手帳の制度
  • バス運賃やタクシー料金の一部助成
  • スマホ料金の割引
  • 医療費の助成
  • 手当の支給

ほんの一部とはなりますが、助成や手当があれば生活が楽になりますよね。

ただし、障害者手帳の等級次第で変わってきます。

その点は注意が必要ですが、まずは申請してみることが第一歩ですね。

※詳しい障害者手帳の内容や申請方法はコチラ↓

②障害年金の申請

障害者手帳の申請が終わり、可能なら手帳が届いてから始めて欲しいのが、障害年金の申請です。

その理由と共に、紹介しますね。

障害年金の申請にあるハードルって?

障害年金の申請には、主に3つのハードルがある、と言われています。

  • 初診日がわかるか
  • 年金の保険料を納めているか
  • 障害の状態が等級に満たされているか

今回のご相談者様の場合、初診日はわかりやすいですね。

2点目の年金を納めているかですが、これも問題ありませんでした。

最後に3点目ですが、これが一番高いハードルとなります。

残念ながら、障害年金は誰もが欲しいからといって、貰えるわけではありません。

一定の障害の状態にあることが求められるため、この点を審査する側に認めてもらえるかが大切

3点目については、3つほどポイントがあるので、下で詳しく紹介しますね。

申請するときのポイント!

あくまで今回のご相談者様の場合は、という条件の基ですが、申請のポイントを3つほど紹介しますね。

障害の認定日について

1つ目は、一定の障害状態にある、と判断する「障害認定日」について。

障害年金では原則、初診日より1年6カ月を経過した日を「障害認定日」としています。

ただし1年6カ月より前に、「症状が固定した日」がある場合は、前倒しが可能です。

医師の判断次第ですが、脳内出血のような脳血管疾患による機能障害の場合、例外があります。

それは「初診日から6カ月経過日以降で、症状固定と認められる日」があること。

6カ月経過後に、症状が変わらないと認められること、ですね。

まずは初診日から6カ月経過した段階で、医師に相談がオススメとお話しました

障害の状態を示す診断書

2点目が、申請に使う診断書について。

障害年金に使う診断書は、8種類あります。

自分の状態をきちんと書いてもらうためには、この診断書の種類がとても重要

特に脳内出血の場合は、症状が人それぞれとなるため、診断書を渡す側の自治体でも難しいそう。

例えば、麻痺があるか、バランス感覚か、言語の障害か、これだけでも3つの診断書に分かれます。

しかし障害の程度を示す、とっても大切な書類。

症状として、何が日常生活に影響しているかを整理してから、自治体へ行くことをオススメしました。

障害者手帳を添付する

基本的には、障害年金と障害者手帳は、関係ありません!

認定基準が全く異なるため、「障害者手帳を持っている=障害年金が貰える」はありません。

ただし障害年金の申請時に、障害者手帳を添付することは可能です。

1つの参考資料にはなるため、間に合うのであれば添付しましょう。

ココで気を付けたいのが、医師の書いた診断書には有効期限があること。

せっかくの診断書が期限切れで、もう一度書いてもらう羽目に、は注意してくださいね。(私の実体験でもあります^^;)

※障害年金について、詳しくはこちらのブログを参考にしてください。

③生活保護の申請

最後に3つ目として、生活保護の申請となります。

ご相談者様の場合は、働くことが難しいとのこと。

また収入面で家族には頼れない場合は、生活保護の受給が視野に入ります。

ただし生活保護は、いくつかのハードルがあります。

特に気を付けたいのが、ご家族の状況、また治療する病院について

申請時には、ご家族にも調査が入る可能性があると、ご説明をしました。

また、治療する病院について。

生活保護を受給した場合は、医療費の助成も受けることになります。

この医療費の助成は、自治体により指定された病院でのみ利用が可能。

ご相談者様が、通院している病院を移る可能性もあります。

とはいえ、生活が苦しい場合は、早めに自治体で相談することもお話しました。

また生活保護の申請後に、障害者手帳の取得や障害年金の受給が決まった場合には、申請が必要になります。

  • 障害者手帳の取得では、生活保護に加算が加わること。
  • 障害年金の受給では、生活保護費の調整が入ること(障害年金が優先され、生活保護は差額の支給となる)こと。

以上、2点をポイントとして、お伝えをしました。

ご相談者様には、お仕事が出来る可能性があるなら、失業手当の延長ができる旨もお話しています。

失業手当は本来、働く意思があるけど、仕事が見つからない場合に貰える手当。

ただし病気等により働けない場合は、失業手当を貰う期間を最長で、3年まで延長できます。

とはいえ、ご相談者様自身が、働ける可能性が少ないとのことだったので、ココでは除外しました。

ご相談者様への結論

相談内容の要点と結論
  • 日常生活に影響が出るような障害が残った。何からするべき?
     → まずは医療費の申請を
  • どんなお金の制度が利用できるの?
     → 障害者手帳による手当や障害年金の受給が考えられる
  • 家族にも頼れない状況で、未来のお金までどう考えればいいの?
     → 状況次第では、躊躇わずに生活保護の申請を

3点について、申請のポイントと合わせて、紹介をしてきました。

ただしどの申請にも、一定の時間がかかりますし、申請のための費用もかかります。

生活の状況次第では、生活保護の申請を先にすることをご相談者様にお話しました。

以下、ご相談者様にいただいた、感想の抜粋です。

とりあえず、やるべきことが分かったこと、また申請の時期やポイントが分かったことで、少し安心できました。

また、これからのお金の目安も出来たことで、落ち着きました。

家族も関わるお話が多いため、家族と相談してみます。

細かく教えていただいて、ありがとうございました!

(※ご相談者様には、貰える可能性のある金額等も併せて、ご紹介しています。ここでは省略しました。)

まとめ

突然のことで、未来がなかなか、見えなくなることもありますよね。

特に福祉制度等は、難しいものも多く、どこからやればいいのかと迷うことも多いはず。

お金の話で、どこから手を付ければいいのか悩んだときは、自治体等で相談できる場合もあります。

もちろん私自身に、ご相談いただいた場合は、今回のように、実体験を交えつつお話しできる場合も。

ぜひ公的な制度を活用しつつ、安心して生活できる環境を作ってくださいね。

ファイナンシャルプランナー 山口 真未

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