国民年金や厚生年金など、税金を納めることは”国民の義務”ですよね。
これは学校で、よく習った内容のため、耳にタコという人も多いはず。
しかし”国民の義務”とはいえ、収入の状況により、税金を納めることが難しいときもありますね。
他にも収入などに関係なく、条件さえ満たせば、納めることが免除される場合も。
そんな時に役立つ知識として、年金の免除制度等について紹介します。
今は関係ない、という方も、困ったときはココを見ればいい、とだけ覚えておいてくださいね!
国民年金の免除制度

国民年金に加入している人の場合、条件を満たせば、年金の納付を免除をしてもらえます。
では、その条件とはどのようなのでしょうか?
免除の種類・条件
まず年金の免除には2種類あります。
まず「法定免除」とは、障害年金の受給や生活保護を受けている場合等が当たります。
こちらは、条件がとても明確ですよね。
では「申請免除」とは、どんなものでしょうか。
こちらは「収入が一定の金額以下である場合」という、言葉になります。
簡単に言えば、会社を辞めたとき(=退職)や、会社の倒産等による失業が当たりますよ。
他にも失業はしていないものの、収入が少なくなった場合も該当します。
例として単身世帯の場合は、所得が57万円以下の場合、ですね。
免除されたらどうなるの?
では、免除されたらどうなるのでしょうか?
免除が認められた場合、4つの区分のうち、どれかに該当します。
この4区分のどれに該当するかは、収入の状況等によるため、必ずお知らせ等が届いたら確認してくださいね。
免除=良いことばかり、ではない!
免除が認定されれば納める金額は少なくなります。
ただし、その納めるのが少なくなった期間の分は、未来の年金受給額が減るということになります。
免除区分 | 将来の年金支給額 |
---|---|
全額免除 | 免除の月数 ✖ 4 / 8(=1/2) |
4分の3免除 | 免除の月数 ✖ 5 / 8 |
半額免除 | 免除の月数 ✖ 6 / 8 |
4分の1免除 | 免除の月数 ✖ 7 / 8 |
*平成 21 年 3 月以前の免除期間は、割合が異なります。
年金は、将来の収入源として、可能な限り確保した方がいいものです。
いずれ生活に余裕が出てきたら、年金の追納も視野に入れましょう。
この「追納制度」は、免除期間の分を10年まで遡ることができます。
もちろん追納するかどうか、は強制ではありません。
今の生活だけでなく未来を見据えて、計画することが大切ですよ。
手帳がある=免除なの?
障害者手帳を持っている方は、いろいろな福祉制度を利用することができますよね。
その中でよくある誤解の一つに、「障害者手帳の交付=年金が免除になる」というものです。
これは確実に間違いです!
あくまで障害者手帳が交付される条件は、「一定の以上の障害があると認められとき」です。
障害を持つことと、仕事が出来るか出来ないか、はイコールではありませんよね。
そのため年金の免除等は、手帳を持っているかどうかは関係ありません。
免除するためには

年金の免除に該当するかも、と気づいた方!
それではどのようにしたら、免除になるのか。
その方法を紹介しますね。
自動で免除になるの?
「法定免除」は、決まった条件を満たしさえすれば、納めることが免除になるものですよね。
ここでよくある勘違いが、「法定免除になる=自動で年金が免除になる」というものです。
あくまで「法定免除」は、本人の意思によって免除を申請することができる、とも言いかえられます。
「法定免除」であっても、免除の申請が必要となりますので、免除したい場合は忘れずに申請してくださいね。
もし免除の申請をしないまま、年金を納めない場合は「未納扱い」となってしまいます。
未納はデメリットが大きいので、面倒ですが、確実に免除の手続きしてくださいね。
申請方法
免除をしよう、と意思が固まったら、さっそく申請をしましょう。
必要になる書類が、免除となる理由によって異なります。
別々に紹介しますので、ご自身の該当する場所を見てくださいね。
会社の退職だけでなく、事業の廃止(廃業)の場合でも可能です。
ただし必要となる申請書類が異なりますので、注意してくださいね。
※国民年金保険料免除・納付猶予申請書は窓口で受け取るほか、HPのダウンロードも可能となっています。
申請は、窓口に行く以外に郵送でも可能となっています。
しかし市町村によっては、特別の事情がある場合のみ、郵送を受け付けているという場合もあります。
もし郵送で申請を行う場合は、事前に電話で確認してくださいね。
なお免除の申請は、過去2年まで遡ることができます。(申請月の 2 年 1 カ月前の月分)
もし手続きが遅れてしまった場合でも、申請が可能ですので手続きしてくださいね。
法定免除は”絶対”?

法定免除は、一定の条件が決まった条件を満たしたとき、です。
では条件が満たされたら、絶対に免除の申請をしなければならないのか。
絶対と言われると、少し不安になる部分もありますよね。
ここでは免除のメリット・デメリット等を解説します。
免除の対象でも、納付できる
免除の理由には、「法定免除」と「申請免除」の2種類ある、と紹介してきました。
「申請免除」の場合は、自分自身で、申請することで免除になること。
それは自分自身で、年金の免除を希望している、ということですよね。(当然ですが)
では、「法定免除」に該当 = 年金の免除を希望、でしょうか?
これは、必ずしも、一致しない場合もありますよね。
年金の免除は強制か、答えはNOです。
「法定免除」に該当したとしても、免除を選択するかは本人の自由となっています。
もちろん「法定免除」は、相応の理由があって、収入に関係なく年金の納付が免除されています。
では、その免除の選択が自由とはどういうことでしょうか?
年金が免除されるメリット・デメリット
年金の免除を選択するのは、いろいろな理由があって行いますよね。
その理由次第では、免除を選択することを、今一度考えてみてほしい場合があります。
では、年金が免除されることのメリット・デメリットは何でしょうか。
数で言えば、メリットの方が多く感じますが、実はデメリットの部分もとても重要です。
65歳で年金を受給するときは、もしかしたら、仕事をしていない(できない)ときかもしれませんよね。
それは唯一の収入減が年金、ということ。
唯一の収入減であれば、少しでも多く貰っておきたい、と思いますよね。
また「法定免除」の理由の一つである、障害年金の受給による場合は、特に先を見越しましょう。
障害年金の受給が、65歳で年金を受給するまで続くものなのか、それとも例えば3年後には無くなるものなのか。
もし障害年金が一時的なものなら、将来の為に年金を納付しておくことも1つの方法です。
既に紹介した通り、年金は10年までは遡って追納することもできます。
とりあえず、今は免除を申請しておく、というのも1つの方法ですよね。
ただし後から追納するということは、数年分をまとめて納付する = お金が一度に家計から出ていくこと、でもあります。
障害年金を理由に年金を免除する場合は、少しだけでいいので考えてみてくださいね。
厚生年金の場合は?
ここまで、年金=国民年金として紹介してきました。
では加入が厚生年金の場合は、年金の免除ができるのでしょうか。
答えはNOです。
例えば、残業が少なくてお給料が減ったからといって、年金を免除されるということはないはず。
そのため厚生年金の場合は、年金の免除はありません。
これは障害年金の受給をしていても、同じです。
障害年金を受給している場合でも、厚生年金は納付することになりますよ。
新型コロナウイルスによる影響は?

収入が減ったときに年金の免除が申請できますが、「収入=前年の収入」を指します。
では今、新型コロナウイルスの関係で、収入がゼロの方はどうすればいいのか。
これには臨時の措置として、今年の所得見込みにより免除の申請ができるようになっています。
今年の収入を自分で計画した金額で、申請が出来るということですね。
では、申請のための条件を紹介します。
この条件は、どちらも該当する必要があるので注意しましょう。
少し補足説明をしますね。
まず1つ目の条件、収入の減少は、コロナにより業務がなくなったことが該当します。
仕事はクビではないけど、働くことができず、収入がゼロになっている、という方を救済する措置であるということ。
では2つ目の条件、「所得が相当程度まで下がる」なんて、具体的な金額が知りたくなります。
残念ながら、金額は一律ではありません。
家族の状況等によるため、下記の計算式により算出します。
全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 |
4分の3免除 | 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
半額免除 | 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
4分の1免除 | 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
例えば、全額が免除される基準は、単身世帯の場合は57万円以下、夫婦世帯の場合は92万円以下が目安となりますよ。
該当しそうだな、という方は、お早めに申請してくださいね。
障害者の方も年金を免除するか、未来を見て考えましょう

年金は、税金の中でも金額が高いものの1つです。
収入が一定のときは問題なく納めることが出来ますが、いざ収入が下がると家計には大きな負担となりますよね。
そんなときは、免除の制度を賢く利用していきましょう。
ファイナンシャルプランナー 山口 真未
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