【コロナ対策あり】年金に免除制度があるの?-免除になる条件や方法-

税金・年金・社会保障等
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国民年金や厚生年金など、税金を納めることは”国民の義務”ですよね。

これは学校で、よく習った内容のため、耳にタコという人も多いはず。

しかし”国民の義務”とはいえ、収入の状況により、税金を納めることが難しいときもありますね。

他にも収入などに関係なく、条件さえ満たせば、納めることが免除される場合も。

そんな時に役立つ知識として、年金の免除制度等について紹介します。

今は関係ない、という方も、困ったときはココを見ればいい、とだけ覚えておいてくださいね!

国民年金の免除制度

○○とは

国民年金に加入している人の場合、条件を満たせば、年金の納付を免除をしてもらえます。

では、その条件とはどのようなのでしょうか?

免除の種類・条件

まず年金の免除には2種類あります。

国民年金の免除
  • 法定免除
    (例 障害年金の受給、生活保護を受けている etc)
  • 申請免除

まず「法定免除」とは、障害年金の受給や生活保護を受けている場合等が当たります。

こちらは、条件がとても明確ですよね。

では「申請免除」とは、どんなものでしょうか。

こちらは「収入が一定の金額以下である場合」という、言葉になります。

簡単に言えば、会社を辞めたとき(=退職)や、会社の倒産等による失業が当たりますよ。

他にも失業はしていないものの、収入が少なくなった場合も該当します。

例として単身世帯の場合は、所得が57万円以下の場合、ですね。

免除されたらどうなるの?

では、免除されたらどうなるのでしょうか?

免除が認められた場合、4つの区分のうち、どれかに該当します。

免除区分
  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

この4区分のどれに該当するかは、収入の状況等によるため、必ずお知らせ等が届いたら確認してくださいね。

免除=良いことばかり、ではない!

免除が認定されれば納める金額は少なくなります。

ただし、その納めるのが少なくなった期間の分は、未来の年金受給額が減るということになります。

免除区分将来の年金支給額
全額免除免除の月数 ✖ 4 / 8(=1/2)
4分の3免除免除の月数 ✖ 5 / 8
半額免除免除の月数 ✖ 6 / 8
4分の1免除免除の月数 ✖ 7 / 8
*全額免除の承認期間が 2 年間ある場合、年金額は年額 19,500 円程度少なくなります。
*平成 21 年 3 月以前の免除期間は、割合が異なります。

年金は、将来の収入源として、可能な限り確保した方がいいものです。

いずれ生活に余裕が出てきたら、年金の追納も視野に入れましょう。

この「追納制度」は、免除期間の分を10年まで遡ることができます

もちろん追納するかどうか、は強制ではありません。

今の生活だけでなく未来を見据えて、計画することが大切ですよ。

手帳がある=免除なの?

障害者手帳を持っている方は、いろいろな福祉制度を利用することができますよね。

その中でよくある誤解の一つに、「障害者手帳の交付=年金が免除になる」というものです。

これは確実に間違いです!

あくまで障害者手帳が交付される条件は、「一定の以上の障害があると認められとき」です。

障害を持つことと、仕事が出来るか出来ないか、はイコールではありませんよね。

そのため年金の免除等は、手帳を持っているかどうかは関係ありません。

免除するためには

申請方法

年金の免除に該当するかも、と気づいた方!

それではどのようにしたら、免除になるのか。

その方法を紹介しますね。

自動で免除になるの?

「法定免除」は、決まった条件を満たしさえすれば、納めることが免除になるものですよね。

ここでよくある勘違いが、「法定免除になる=自動で年金が免除になる」というものです。

あくまで「法定免除」は、本人の意思によって免除を申請することができる、とも言いかえられます。

「法定免除」であっても、免除の申請が必要となりますので、免除したい場合は忘れずに申請してくださいね。

もし免除の申請をしないまま、年金を納めない場合は「未納扱い」となってしまいます。

未納はデメリットが大きいので、面倒ですが、確実に免除の手続きしてくださいね。

申請方法

免除をしよう、と意思が固まったら、さっそく申請をしましょう。

必要になる書類が、免除となる理由によって異なります。

別々に紹介しますので、ご自身の該当する場所を見てくださいね。

法定免除
申請するために必要な書類
  • 国民年金保険料免除・納付猶予申請書
  • 年金手帳
    (障害年金による免除の方は、年金証書)
申請免除
申請するために必要な書類
  • 国民年金保険料免除・納付猶予申請書
  • 年金手帳
  • 失業を確認できる公的機関の証明の写し
    (雇用保険受給資格者証の写しや雇用保険被保険者資格喪失確認通知書 etc)

会社の退職だけでなく、事業の廃止(廃業)の場合でも可能です。

ただし必要となる申請書類が異なりますので、注意してくださいね。

※国民年金保険料免除・納付猶予申請書は窓口で受け取るほか、HPのダウンロードも可能となっています。

申請先
  • 市町村の年金窓口
  • 日本年金機構の事務所

申請は、窓口に行く以外に郵送でも可能となっています。

しかし市町村によっては、特別の事情がある場合のみ、郵送を受け付けているという場合もあります。

もし郵送で申請を行う場合は、事前に電話で確認してくださいね。

なお免除の申請は、過去2年まで遡ることができます。(申請月の 2 年 1 カ月前の月分)

もし手続きが遅れてしまった場合でも、申請が可能ですので手続きしてくださいね。

資料ダウンロード先

日本年金機構

国民年金保険料 免除・納付猶予 の申請について

法定免除は”絶対”?

絶対?

法定免除は、一定の条件が決まった条件を満たしたとき、です。

では条件が満たされたら、絶対に免除の申請をしなければならないのか。

絶対と言われると、少し不安になる部分もありますよね。

ここでは免除のメリット・デメリット等を解説します。

免除の対象でも、納付できる

免除の理由には、「法定免除」と「申請免除」の2種類ある、と紹介してきました。

「申請免除」の場合は、自分自身で、申請することで免除になること。

それは自分自身で、年金の免除を希望している、ということですよね。(当然ですが)

では、「法定免除」に該当 = 年金の免除を希望、でしょうか?

これは、必ずしも、一致しない場合もありますよね。

年金の免除は強制か、答えはNOです。

「法定免除」に該当したとしても、免除を選択するかは本人の自由となっています。

もちろん「法定免除」は、相応の理由があって、収入に関係なく年金の納付が免除されています。

では、その免除の選択が自由とはどういうことでしょうか?

年金が免除されるメリット・デメリット

年金の免除を選択するのは、いろいろな理由があって行いますよね。

その理由次第では、免除を選択することを、今一度考えてみてほしい場合があります。

では、年金が免除されることのメリット・デメリットは何でしょうか。

【メリット】
  • 年金分のお金が家計で使えるようになる
  • 免除の期間でも、年金をもらうときに一定の金額は保障される
  • もし免除の期間に何かあっても保障される(例 障害年金、遺族年金の受給 etc)
【デメリット】
  • 年金をもらうとき、満額より少なくなる
  • 追納により一時的に現金が無くなる可能性もある

数で言えば、メリットの方が多く感じますが、実はデメリットの部分もとても重要です。

65歳で年金を受給するときは、もしかしたら、仕事をしていない(できない)ときかもしれませんよね。

それは唯一の収入減が年金、ということ。

唯一の収入減であれば、少しでも多く貰っておきたい、と思いますよね。

また「法定免除」の理由の一つである、障害年金の受給による場合は、特に先を見越しましょう。

障害年金の受給が、65歳で年金を受給するまで続くものなのか、それとも例えば3年後には無くなるものなのか。

もし障害年金が一時的なものなら、将来の為に年金を納付しておくことも1つの方法です。

既に紹介した通り、年金は10年までは遡って追納することもできます。

とりあえず、今は免除を申請しておく、というのも1つの方法ですよね。

ただし後から追納するということは、数年分をまとめて納付する = お金が一度に家計から出ていくこと、でもあります。

障害年金を理由に年金を免除する場合は、少しだけでいいので考えてみてくださいね。

厚生年金の場合は?

ここまで、年金=国民年金として紹介してきました。

では加入が厚生年金の場合は、年金の免除ができるのでしょうか。

答えはNOです。

例えば、残業が少なくてお給料が減ったからといって、年金を免除されるということはないはず。

そのため厚生年金の場合は、年金の免除はありません。

これは障害年金の受給をしていても、同じです。

障害年金を受給している場合でも、厚生年金は納付することになりますよ。

新型コロナウイルスによる影響は?

収入が減ったときに年金の免除が申請できますが、「収入=前年の収入」を指します。

では今、新型コロナウイルスの関係で、収入がゼロの方はどうすればいいのか。

これには臨時の措置として、今年の所得見込みにより免除の申請ができるようになっています。

今年の収入を自分で計画した金額で、申請が出来るということですね。

では、申請のための条件を紹介します。

この条件は、どちらも該当する必要があるので注意しましょう。

新型コロナウイルスによる免除の条件
  1. 新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少
  2. 所得が相当程度まで下がった場合

少し補足説明をしますね。

まず1つ目の条件、収入の減少は、コロナにより業務がなくなったことが該当します。

仕事はクビではないけど、働くことができず、収入がゼロになっている、という方を救済する措置であるということ。

では2つ目の条件、「所得が相当程度まで下がる」なんて、具体的な金額が知りたくなります。

残念ながら、金額は一律ではありません。

家族の状況等によるため、下記の計算式により算出します。

全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
4分の3免除78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

例えば、全額が免除される基準は、単身世帯の場合は57万円以下、夫婦世帯の場合は92万円以下が目安となりますよ。

該当しそうだな、という方は、お早めに申請してくださいね。

障害者の方も年金を免除するか、未来を見て考えましょう

年金は、税金の中でも金額が高いものの1つです。

収入が一定のときは問題なく納めることが出来ますが、いざ収入が下がると家計には大きな負担となりますよね。

そんなときは、免除の制度を賢く利用していきましょう。

ファイナンシャルプランナー 山口 真未

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